水道検針日記(199X年11月5日)~謎は深まるばかり

今日はあのK町の駅前商店街を検針する日だ。初めは非常にハードだったところも慣れるに従って手早くできるようになり、時間も短縮できるようになる。

60cmくらいのビルとビルの間に15mにわたって5つメーターが並んで、しかも一方のビルの壁にダクトやパイプが通っている場所がある。メーターの蓋を閉めると、次に開けるのにパイプが邪魔になるので全部開けてあるが、その中にいろんなゴミがたまって、メーターにわけのわからない油分のヤニみたいなのがこびりついている。

僕は少し閉所恐怖症の気があるので初めは、こわかったが今は平気だ。ここを検針した後にもう恐い夢もみない。人間、大体のことには慣れられるものなんだなぁ。

某喫茶店のメーターを見るためにまた「◎◎ガールズ(仮名)」のホステスの写真を貼る看板(2枚ある)をどかしてしたら、そこにちょうど通りかかった二十歳くらいの女の子と目が合って、ちょっと怪訝な顔をされた。「ち、ち、違うんだ~。オレはこのピンサロと何の関係もないんだ~」と叫びたかったが、それもできず。

そのメーターを検針した直後に「◎◎ガールズ(仮名)」関係者らしき男が外車でやってきて、またネチネチ文句言われるんじゃないかとビビる。しかし、なんで僕が怯えなければならないのか‥。

その後、「ぼぃんぼぃん」近辺を検針していたら(「ぼぃんぼぃん」はつぶれた。隣にある「一刻のロマンス・完全前金制」の「マリリン」に負けたようだ)焼き肉やのおやじに「おーい、すいどー」と声をかけられた。この店のメーターの上にはいつもいろんな物が載っていて、へたにそれをどかすとこのおやじに怒鳴りつけられる。

一度、食べ物が入ったケースを道路の上に置いたら「ばかやろう!! お前、この中に何が入ってると思ってるんだー!!!」と昔の雷おやじみたいに思い切り怒鳴られた。そんなもん、こんなとこに置いとくなよな、とぶつぶつ文句は言ったが、僕はこういうおやじは実は好きなのだ。今日は、このおやじが荷物を自分でどけてくれた。ありがとう、焼き肉やのおやじ。

それからサウナのメーターを見たらどうやら漏水しているようなので、その旨を告げに行った。カウンターに「当店はサウナとマッサージの店なので手淫はいたしません」というようなことが書いてある。「手淫」だって(笑)。女のマッサージ師はよくそういうことを言われるらしい。

でもさ、わざわざこの店のマッサージ師の写真が貼ってあって、しかもそれが全員若い女というのはどういうわけか? それにたまたま来た50代の男の客が2万4000円も払っていたのは何故だろう。サウナ、エステ、マッサージなどメニューにあるもの全部を足しても1万8000円にしかならないはずなのに。謎は深まるばかりだ。