水道検針日記(199X年11月14日)~大型犬は恐い、検針ハイ

今週は、水曜や木曜などに中休みがなくてつらい。特に今週は件数が多かったけれど、今日は全コース中で最も多い日で、合計450件。ただ多いだけではなくて、一戸建ての住宅街なので、歩く距離が長い。

1冊目はB町。隣町との境にあるところ。ここは若干歩く距離が長いところだが、特に大過なく終わる。一つ、この冊のキビシイ家があって、ここの家には大きな犬がいるのだ。

飼い主はいつも留守なんだけれど。メーターを見るには、どうしてもこの犬に直接会ってしまう。初めは恐くて中に入れなかったものだが、慣れてくると(検針を続けて犬自体に慣れてきたということもある)実は、この犬は人なつこくていい奴だということがわかって、おそるおそる戸を開けてびびりつつもこの大形犬の頭をなでたりして無事検針を終える。

今日、この家に行ったら、小学1年生くらいの大きさの白い犬が3匹もいた。かなり恐かったけど、犬のご機嫌を伺いながら、なんとか終了。3つくらい糞を踏んだ(別につまらないシャレは意図してません)。こういう時恐ろしいのは、もちろん犬にかまれることだが、僕が立っていて大人の犬が顔を上げると、ちょうど犬の口が僕の股間あたりにくる。

お尻や足くらいならまだしも(狂犬病の予防注射は打ってあるはずだし)アソコは噛まれたくない。だってねぇ、噛まれたりしたらいろんな点で困るし、第一すごく痛そうだ。


12時過ぎにB町終え、K町へ。「天や」で天丼を食って現場へ。ここは小学校や広い昔は農家だった家があったりして、検針するには面白いのだが、いかんせん件数が多い上に、やたらと歩く距離が長い。

4ヵ月前に、あるアパートで七夕で笹のかわりにサボテンに飾りと短冊をつけていた家があったのを覚えていますか? 今日行ったら、まだそのサボテンが飾りをつけたまま残っていた。相変わらず刺し身に生クリームをつけたように気持ちが悪い。短冊を見てみたら「8月のこてんが上手くいきますように……ぢゅん」とあった。多分小学1、2年生ぐらいだろう。

しかし、なんというズボラな親だ。きっとこのぢゅん君の親も、自分が子供の頃は似たような境遇だったんだろう。貧困は再生産されるのですね。うーむ。

その後、雨が降ってきて急いでやったのだが、それでもやはり中々終わらない。ここら辺りには、廃屋寸前のボロボロのアパートや、実際廃屋になってしまった空き家が何軒かある。ボロのアパートは、昔農家をしていた土地持ちの家が、2,30年前に立てたアパートで、現在はマンション(複数ある)の上りで生計をたてているのだが、アパートにはまだ住人が何人かいるし、もう家の固定資産税もかからないし、売ったり建物を建てるのも面倒なのでそのまま放ってあるらしい。

3時半を過ぎると、雨が降ってきて空も暗くなって少しあせった。最後はマラソン大会みたいな持久力でなんとか終了。ところで、ワンルームマンションはいろいろ大変みたいですね。壁に貼ってある注意書きを見ると、タイマー替わりに使っているステレオが、住人がいない間の深夜に大音響でずっと鳴りっぱなしだったり、夜中にトランペット吹く奴はいるし、大勢で大騒ぎする奴はいるし。

会社には4時半過ぎに到着。本当は4時半までに帰ることになっているんだけど、こういう時もある。今日は、ほとんど休みもとらないでずっと動きっぱなしだったので、疲れと(検針で下を向くので)頭に血が上ったせいで、帰ってきてからハイだった。いわゆる「検針ハイ」というやつですね。こういう時はあまり疲れを感じなくて妙に体が軽く、意味もなくニヤニヤして、人に話しかけられると過剰にトークしていまうのが特徴です。明日は休みだ嬉しいな。