水道検針日記(199Y年3月12日)~人間は生まれてから死ぬまでずっと寂しい

今月初めての検針日記だ。今日の現場は、B町6丁目とK町2丁目。合計340件。昨日の夜から雨が降って、今日の午前中まで降っていた。雨の日はいろいろとつらいことが多くて時々、この仕事を辞めたくなる。

体力的のも疲労が1,4倍くらいになり、気分的に厳しい。惨めな気分になる。今日は、そんなこともなかったが。

雨と言えば、先日、雨の中、K町を検針してたら、70代のばあさんが道を小走りに走っていて、ちょうど僕がメーターを見ている傍で前のめりに転んだ。

雨が降っていたから滑ったのかな、でもまあ、すぐに起き上がるだろうと思っていたのだが、15秒くらい濡れたアスファルトの上に倒れている。しかも顔を地面に接したままである。

僕と、偶然通りかかったおばさんの二人で起こしたら、メガネが割れて鼻の脇が切れていた。年寄りは、反射神経が鈍くなっているので、転んだときに咄嗟に手が前にでないらしい。だから顔からモロに倒れてしまう。しかも転んでもすぐには起き上がれない。

年をとるといろいろと大変だ。こういうのって全然シャレになんない。今日も、B町で顔が傷だらけのばあさんがいて、その人も雪の日に家の前で転んだらしい。検針していると、よく年寄りから話しかけられることこもあって、時々、老人のことを考える。

僕なんかに話しかける人はみんな人恋しくて誰かに構って欲しいのだ。「人間は生まれてから死ぬまでずっと寂しいんだな」とこの頃よく思う。

検針の方は、もうかなり慣れたところなので、比較的簡単に終わった。B町は、大通りを越えると、街のつくりがゆったりしていて、旧農家の豪邸が時々残っていて、こういうとこには、直径50cmもある大木や竹林もある。庭も広いので、草木が芽吹く頃のかぐわしい土のや草の香りがする。

K町の方も簡単に終わった。ここの冊は商店街で庶民的でいい味わいがある。洋品店のおばちゃんや御茶屋のいつもボーットして立っている40くらいの息子、じじい二人でやっている偏屈な米屋などいろんな人がいる。

しかし、拡声器から流れるあの放送(麻雀クラブピン**、麻雀クラブピン**、皆さん、麻雀クラブで不愉快な思いをされたことございませんか? 当店では皆上品なお客様ばかりですから安心してお楽しみいただけます。)がうるさい。なんとかして欲しい。わずか月1700円で一日7回も宣伝するらしい。