水道検針日記(199Z年1月6日)~何もしないでゴロゴロしていたい

今日は今年に入って三日目の仕事だ。相変わらず仕事はしたくないなぁ。できることなら(まぁ、やればできるんだけどさ)何もしないでゴロゴロしていたい。

さっき、***の代表格ということで最近名前が売れてきた友人のKと話をしていて、彼はこの3年の間丸っきり労働をしていなくて睡眠時間が長くて有名なんだけど、近頃は、ついにと言うべきか一日16時間も眠ってるんだそうだ。

Kは「うーん、一日16時間も寝ると(他に)何にもできねえなぁ」と嘆いていた。当たり前だ。

善福寺川の公園のベンチに30代半ばの男性で、いつも寝転がっている人がいて、彼はイヤホンでラジオを聴いたり、雑誌を読んだりしている。最初はホームレスかと思ったが、服をよく変えているし、割とこざっぱりしている。

この人のことも見かけるたびに羨ましいと思う。本当に公園のベンチでゴロゴロしているだけなんだけど、それでもなんか楽しそうなのだ。僕は彼とは人間の器が違うので、一日同じことをやってもそれを楽しむことはできないだろうけど。やっぱり、僕は近未来の生活に備えて仕事をやるんだな。

今日の現場はH町とK町。合計330件ぐらい。H町を先に済ませて、昨日検針したK町の駅前商店街の再調査へ。昨日見れなかった店のメーターが二件と、マンションと飲み屋のリッター針の動作確認と、雑居ビルの大型メーターの増量聴取がその内容。

雑居ビルの場合は、ピンサロと雑貨屋と食堂が入ってたりして「最近何か変わったことは……」なんて聴取できないね。昨日は、何事もなく平穏無事に検針できた。

検針の途中で、商店街にある某社の前に行った。友人のZ君がその店でかつて働いていて、いろいろな方針を巡って組合と会社間で争議が起こっており、昨日は店の前でビラまきをするというので様子を見に行ったのだ。ビラまきをしている人の中に友人が2,3人いて、僕が行くと「おー、こんなとこで何やってんだよ」ということになって、僕がハンディと検針棒をちらつかせて「コレ、コレ、水道検針してんのさ」と。

それで、時々、現場で偶然知り合いに会って、皆が一様に「おお~、こんな格好してやってるのか」と驚かれるのが、作業中の服装だ。まぁ、どこにでもある作業服だから、そんなにジロジロ見ることもなかろうと思うんだけど、友人が日頃とは全然違うタイプの服装をしていると新鮮なのだろう。僕が「どう?」と訊くと、大谷くんは「おー、カッコイイよ」と言った。当たり前だ。

それからK町の検針。1時15分ぐらいから初めて、合計190件弱だから3時半頃には終わるかなと思ったものの、やっぱり4時近くまでかかった。ここは、小さな飲み屋が多かったりして、アパートが多い割には時間がかかるし、体力的にも終わるとグッタリ疲れる。最後に、前回1000立方誤検針をした飲食店に行くと、おやじさんが出てきてちょっと立ち話をした。電話では話したことはあるが、実際に顔を合わせたのは初めてだ。ニューヨーク・メッツの吉井投手に似ていると思った。

「この前はすいませんでした」と僕が言うと、「いや、別にいんだけどさ」という顔で軽く笑っていた。謝罪がてらこの店に来ようかなんて前回書いたけど、やっぱり行かなかったな。僕は人見知りするんで、「いやあ、誤検針してすんませんでしたねぇ」と言ったきり話が続かないとお互い困っちゃうしね。