水道検針日記(199Z年3月20日)~11連休のために

今日は土曜日なのに出勤した。こういうことは非常に珍しい。土曜日に更新するなんて検針日記始まって以来のことだと思う。土曜日は基本的に検針業務はなくて再調査だけなので、そのためだけに出勤するなんてメンドウだもんね。

検針員の中には土曜日に必ず再調査をやりに出てくる人もいるし、月に一回ぐらい出る人もいる。そんな中で僕は年に一回あるかないかだ。けっこう徹底してるかもしれない。中にはクルマが積載してあって土曜日にしかメーターを見れない家もあるのだが、あっさり社員の人にまかしてしまう。

せっかくの(基本的には)休みの日なので、ゆっくり昼近くまで寝ていたいよ。だから、今日僕が出勤してきたら、社員の人がびっくりしてしまって、「**さん、土曜は12時半までに帰ってきてもらわないと困るんですけど、大丈夫ですか?」と確認しに来た。出勤したのが10時半で、再調査の現場はB町なので1時間もかからないので問題ない。

なんでそんな僕が土曜日に会社に来たかというと、23、24日の最終の検針を休むため、金曜の分の再調査は土曜にやる必要がある。二日間休むので、月末休みを含めて今月は明日(日曜)から11連休だ! ははは。普通の会社員には考えにくい休みの取り方だよね。もし11連休とれたら、あなたならどう過ごしますか(読者の中には800連休ぐらいしてる人もいるみたいだけど)? まぁ、僕は旅行に行くことにしました。行先は香港と中国。中国は香港から近い地域に限られるけど。

同じようなことを考える人はやっぱりいて、検針員の小川くんは3年半ぶりぐらいに故郷の長崎に帰省するんだそうだ。なんでも青春18キップを使って、まず初日に京都まで行き、京都から23時頃の快速で博多まで。朝の7時頃に博多到着してから、少し浪人生活を送った懐かしい博多の街をブラついてから長崎に帰るとのこと。

帰りはどうするんだと僕が訊くと、なんでもまた18キップで、今度は三日かけて東京に戻ってくるらしい。帰りまでもあの鈍行の旅を50時間もするというのは奇特というか、けっこうな変人だ。僕だったら多少の金を払っても、もっと楽に帰る。今月は、25日の再調日を抜かしても、休みが六日間もあるので、どこかに出かける人は多いだろう。

読者の中には、なんで香港なんだ? と思う人がいるかもしれけど、特に深い意味はないです。なんとなくです。最初はタイに行こうかと思ったものの、学生の旅行シーズンと重なっているとかですでに席はなく、仕方なくその場で香港に変えた。香港なんて、年間何十万人も日本人が訪れているところだし、僕は多少旅慣れているから、もう余裕だろうなんて思ったら、あまりそんなことなくて、割と不安がある。

インターネットのホームページに、時々、海外行方不明者捜索ページがあるよね。僕だって外国で行方不明になる日本人はけっこういるらしいということは知っていたけど、あれ見てたら、不明者の顔写真やら会社や大学などの所属先など生々しい情報があるので、なんだか全然他人ごととは思えなくなってきた。被害の半分は運だしね。沢木耕太郎もどこかに書いていたけど、外国に旅行にきているというだけで、すでに絶対的に危険に身を晒していることになる。

今からすると、かつて革命直後のルーマニアとか内戦中のエルサルバドルなんかによく行ったものだと思うなぁ。あまり物事を知らなかったし、今よりも恐いものが全然なかった。むしろ、そんな危険やスリルを求めていたんだな。

それで雨の中、再調査へ。カッパを着て冷たい雨の中、B町へ。今日は最高気温が10℃前後と真冬の寒さだった。先日、5月のような爽やかさだったが、やはり寒の戻りがあったか。作業自体は移動も含めて40分ぐらいで終わった。雨に濡れて手がかじかんだ。

ところで、会社との団体交渉が終わって事務所に戻ってきて、社員の人たちの僕に対する反応の変化があるかな、と思ったけど、特に変わったことはない。去年、団交から帰ってきてから、僕に関して動向が軽くチェックされているという情報が入ってきたので、今年もビラまき、説得などのオルグ活動をしていないか、僕と他の検針員との会話を社員が折りに触れ盗み聞きしているのではないか、という気がした。気にし過ぎだろうけど。