水道検針日記(199Z年5月14日)~吠える犬の撃退法

今月初めての検針日記だ。実を言うと、もうこの日記はこの辺りで終了しようかと思っていたのだが、山下達郎の "cozy" を聴きながら本多勝一原作「本多勝一の こんなものを食べてきた!」(『週刊金曜日』に連載されている漫画の単行本)を読んでいるうちに、またなんとなく書きたくなった。

今日になって、明日サッカーの試合ができることになったというのも心理的要因として大きいかもしれない。明日は朝の9時から13時まで4時間、3チームで試合をやる。嬉しいなぁ。サッカーのためなら、休みの日だって朝早く起きちゃうよ。

この検針日記を終了しようと思ったのは、すでに書きたいことは全部書き尽くしているのが最大の原因である。なんだか飽きちゃったんだよね。これからも無数の小さなエピソードは生まれることだろうけど、結局、今まで書いてきたのと同じことの繰り返しだもんなぁ。これからは、もっと他のものを書きたいという感じかな。そういうわけで、この検針はいつ終了するかわかりません。

また、終了しないまでも、更新の間隔がかなり空いてしまうと思います。もうほとんど終わったものと考えてもらってOKです。そういえば、香港・中国・マカオ旅行記は全然書いてない。今日、資料として藤原新也の「全東洋街道(下)」を買ってきた。藤原新也の「アメリカ」を数年ぶりに読み返していて、これもいいなぁ。

ところで、もう5月ですね。月の半ばになって今更何を言っているのかですが、もう気温が25℃の夏日になったりしてけっこう蒸し暑いですね。毎年5月ってこんなだっけかなと思って、去年5月の検針日記を読み返したらやはり同じようなものだった。自動販売機でアクエリアスの500mlカンを買うようになって、ああ、もう夏なんだなーと思う。

4月になって、作業服がガッチャマンになったのはすでに書いたけど、4月に支給されたのは、秋、冬、春用の生地が比較的厚いもので、夏用のはまだもらってない。このくらい暑くなると、蒸してきてしんどい。水道局かどこかから送られてくるのを待っているようで、会社としてもどうしようもないらしい。

なんでも未確認情報によると、夏服は冬服よりも更に派手らしい。先日、僕がK町の南口の方を検針していたら、学生らしい茶髪の二人組の女の子が「よくあんな服着てられるよねー」「ホントだよねー」とヒソヒソ話をしていた。別にいいさ。僕が選んで着ているわけじゃないんだもん。

そういえば、また先日、K町のライブハウスの近辺を検針していたら、高校時代の同級生のTくんとばったり遭遇した。彼はここら辺に住んでいるのだ。フリーの仕事をしているから、時間に縛られずに仕事ができるらしい。その彼も作業服を見て「ああ、これかぁ~~。スゴイの着てるよな~」と一言ボソッと言った。そうなんだよ。人生とは不条理なことの連続だ。

5月になって、今年もまた4割以上使用水量が増加して「ピー」音が鳴る率が増加した。いつもの2倍から3倍近い。これは、2月が28日間しかなくて、5月に連休が入るため、前回が58日間のに対し、今回は62日間という使用日数の差が原因だ。原因聴取したって、「いつもの同じで変わったことはない」というのが大半で、手間ばかり増える。

通常通りの使い方なのに、いつもより2,3000円増えたりして、いたずらにお客を混乱させるばかりのような気もする。今日の現場はB町とK町。合計350件ぐらい。K町の方は一部が商店街にかかっている。以前にも書いた店で、狭い建物の40cmほどの間にメーターがあり、途中に排水のダクトがあるため、ダクトとトタンの壁の間を胸を激しく圧迫させながら検針するところがある。

今日もまたイヤだなーと思いながら、狭い間に体を入れていったのだが、検針を済ませたところで、またばあさんが出てきて、あんた(この状況を)なんとかしてくんない? と言われた。

前にも、検針会社の者の意見では水道局に影響力がないとかかんとか言ったものの、ばあさんが局に文句を言ってもどうにもならないので、やはり何か言いたくなるらしい。隣の地権者にメーター移動を頼んだら「お前んちに火をつけるぞー」と脅されて、それをひどく気にしている様子だった。

僕は「まさか本当に火をつけたりしないでしょう」と言ったけど、言われた当人としては単なる脅しだから気にするな、と言われてもそう簡単に了承できるものでもないみたいだった。それで僕が「地道に水道局と交渉してみてくださいよ」と言うと「あんたはいいね。そうやって逃げられるんだから」とボソッと呟いた。そんなに深刻に思ってるとは知らなかった。

その後、一戸建ての家で、知らない人間に対して猛烈に吠えまくる犬がいるところがある。その家のメーターは、鎖に縛られている犬の行動範囲の外にあるのでワウワウ吠えられても、ちょっと不快なだけでどうということもないのだが、散水栓用メーターが裏庭にあって、その犬の目の前を通らないと行けない。

毎回、そこの家のおばさんに犬ラッキー(仮名)を抑えてもらっている。今日は、初めてみるおばさんが、「ほらラッキー吠えないの!」と叱りながら鎖を持っていてくれたものの、メーターを見て玄関に戻ってきたら、もうおばさんがいなくて、自由になったラッキーが猛烈に狂ったように僕に向かって吠えてきた。参るよなぁ。そこで僕はどうしたかというと、長さ35cmほどの金属製で、先端が2cmほど90度曲がって鉤状になっている検針棒をラッキーの鼻先に突き付けた。

これが、僕が検針員を3年ほど続けてきて発見した(つまらない)人類の叡智、吠える犬の撃退法である。棒状のものを鼻先に突き付けられると、犬は戸惑って、軽く鼻をつつかれようものならスゴスゴと後ずさりするのだ。その後、無事に検針を終了させ、T町まで再調査に行き、帰社。今週は中休みがなかったので、多少きつかった。