水道検針日記(199X年7月17日)~塀を乗り越えて検針

今月の初めは異常に暑い日が続いたのに、真夏に近づくにつれ、涼しい日が多くなった。肉体労働をするにはその方がとても助かるが。今日も朝から曇っていて、時々小雨が降るはっきりしない天気だった。

現場はB町とK町。合計180件しかないからすごく楽。だから今日は11時出勤。B町で検針している時に一時的に雨が激しくなって途中で民家の庭先にソット隠して置いてあったカッパを取りに行った。でもまたすぐに止んだから、かえって中で蒸れてしまってシャツが濡れる。そういうもんだよね、人生って。ウフフ。

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写真はイメージ


Yさんという割と大きい家があって、そこはいつも門の鍵がかかっているため塀をよっこらしょと乗り越えなければならない。去年、検針を始めたばかりの頃、隣の人にYさん宅のことを「いつも留守なんですかねー」と聞いたらそこの一人で住んでいる婆さんが入院しているのだと教えてくれた。それでメーターを見れないと困るので親戚の連絡先を聞いて電話したら、品のいい感じの女性にどうぞ乗り越えてくださいと言われた。

今日もいつものように塀を乗り越えて入ったら、水道が中止してあり、庭に雑草が生い茂っていた。随分人が入ってないようで、草がすでに2m近くになっている。Y子さんの死亡説が高まるところ。大きい立派な家が荒れていくのはなんとなく物悲しい。

K町の方はたったの80件しかない。比較的ボロいアパートのメーターを見るために50cmもない建物と塀の間を入って行ったら、部屋の中にいる青年と少しだけ目が合ってしまった。直線距離は2mもない。こういう時ってちょっと気まずいんだよね。むこうも突然こんなところに人が入ってくると思ってないだろうから。とっさに気のきいたこと言えればいいんだろうけど、かえって殴られたりしてね。日が差さない暗い6畳間でTシャツとパンツ一丁でうだうだしている若者。このK町にはこんな若者が何万と蠢いていることだろう。

1時40分頃検針を終え、昼食。今日は驚異の安さを誇るK町の宝「来々軒」が休みだったため、駅チカ商店街にある「カケフ」でカニクリームコロッケ定食を食べる。この店には学生の他に一体日ごろ何をやっているのか予想がつかない40,50代の男たちが多い。