水道検針日記(199Z年6月25日)~メーターボックスの中のカエル

今日は一日小雨が降ったり止んだりの梅雨らしい天候だった。あまり蒸し暑くないのが救いか。でも、今月の検針は昨日で終了したので、今日はミーティングと昨日の検針分の再調査だけだった。

ミーティングは10時半開始なので、10時20分過ぎに会社に着いた。検針員は、4時半までに帰ってこれれば何時に出社してもOKだから、基本的にみんな出勤時間はバラバラで、僕なんかも一日のノルマの件数によって早く来たり、遅く来たりと毎日のように時間が違う。

それが、今日のような全員出席するミーティングがある日は、駅から事務所に着くまでの間に同僚の姿を何人も見掛けたり、ロッカールームで一緒に作業着に着替えたりと、妙に新鮮に感じることが多かった。

ミーティングの後、小雨が降る中、再調査へ。現場が遠いので帰ってくるまでにけっこう時間がかかった。途中で雨が強くなって帰りはカッパを着た。昨日の検針時、ある一戸建ての、比較的庭が広めの家のメーターボックスの中にカエルを発見した。

こういう狭い空間の中にどういうわけかカエルが住んでいるのを時々見つけることがある。そもそもどうやってメーターボックスの中にカエルが入ったのかよくわからない。メーターボックスの蓋はいつも閉まっているし、隙間はほとんどなきに等しいしなぁ。

そのカエルは二ヵ月前の四月にも目撃していた。そのときは、まだちょっと肌寒い日もあるので、冬眠の途中だろうというとで、そのままにしておいたのだが、もう時はすでに六月だ。カエルが一生こんな暗くて狭い空間にいていいわけない、カエルたるもの、屋外で雨に打たれ、虫を捕まえ、声高らかに鳴くのが本来の姿であろうと、今回はボックスの中にいるのを手で掴んでそとに出した。

驚いたことに、カエルは小犬みたいな声で「クーン」と鳴いた。カエルが哺乳類みたいな声をだすのを初めて聞いた。突然、広い空間に投げ出されて戸惑ったのか、ブロック塀に攀じ登ろうとしては全身を伸ばしてひっくり返ったりしていた。その姿を見て、このカエルはこのまま、外界で生きていけるのだろうか、と考え込んでしまったが、メーターボックスの中でひからびて死んでしまうのも……と思って地上にそのまま残してきた。あれでよかったのかな。