水道検針日記(199Y年12月10日)~強烈なおばさん

最近、どうもいろいろとストレスがたまることが多くて、あんまり検針日記を書きたいと思わない。そのストレスというのは、第一に検針という仕事そのものなんだけど。

この頃、もう仕事に行くのが苦痛だ。知識と経験を積んで、それで更に仕事の面白みが増すというもんでもないしさ。まぁいいや、そんなこと言っても始まらない。

今日の現場はU町が二冊。合計340件ぐらい。片方(仮にA地区)は平場の住宅街で、もう片方(仮にB地区)がマンションが多い地域。

今日はA、B地区とも割と簡単に終わった。A地区では、一軒、新築の家でメーターがクルマの下に入ってしまっているところがあった。それで僕がクルマをどかしてくれませんかと奥さんに頼んだら、彼女はそこで初めて水道メーターというのが彼女の家にも存在し、しかも位置の関係で、今後も検針のたびにクルマを移動させなければならないことに気づいて軽いショックを受けていた。

まぁ、こういうことは時々あるね。多分、工務店が何も考えてなかったせいだろうし、僕は単に仕事として他の家と同じように検針してるだけなんで、当てつけで露骨に面倒くさがったり怨んだりしないで欲しい。

ここの冊には、強烈なおばさんがいる。彼女に初めて会ったのは僕が検針を始めてまだ間もない頃だった。今日は会わなかったが、8月ぐらいに会ったときは、僕がそこの家から70mぐらい離れたマンションの3階で検針している最中で、「なんでこのおばさんがこんなところに……」と怪訝に思ったら、「今回の水量は前回と同じなのに、どういうわけか料金が70円くらい高いじゃない。これはおかしいと思うのよね。なんで?」と言われた。

それは下水道代が上がっただけなのだが、それにしても、もう孫だっているおばさんが、サンダル履いてそのくらいのことでわざわざエレベーターのないマンションの3階まで検針員を追っかけて来たとはね。悪くはないんだけど。

初めて会ったときは、彼女の家の向かいの一家が近辺の家の住人に「ぶっ殺すぞ」とか「死ね」などといじめをしてきて、それで隣の家の人が引越してしまったとか、彼女のだんなさんも娘さんもそれで神経がおかしくなりそうになったとか、「それでも私、負けませんから」などというようなことを5分ぐらいほぼ一方的に僕に向かって話しつづけた。

彼女は、一見しただけではわからないが、話をするときは目がいっちゃった感じで、僕の言うことなんてほとんど聞いていない。初めのうちは「へー、ひどい人がいるもんですねー」などと適当な相づちを打っていたけれど、いい加減疲れてきて、話を切り上げようとジリジリと体を半身にして後ろじさると、おばさんも「ほんと、とんでもないんですから」などと言いながら同じ距離だけ進んでくる(笑)。

それから2ヶ月後に検針した後に、そのおばさんから苦情の電話があって、なんでもメーターボックスの蓋が開いていたということだった。検針の仕事に疲れた今ならまだしも、当時はまだ初々しい新人で緊張感があった頃なので、そんなメーターボックスの蓋を……<この項ここで挫折:なんだか疲れて書くのヤになっちゃった>