水道検針日記(199X年7月14日)~ドアを開放するのは・・・

金曜は朝方雨が降ってちょっとイヤだった。この頃、雨が降ったり曇ったりのすっきりしない天気が続いている。しかし、へたに晴れて35℃になるのも困る。夏はいろいろと大変だ。今年は去年のように毛虫にはやられていないが。去年はあれほどやられたのに、今年はなぜほぼ0なのだろう。何か気象の影響なのだろうか。

今日、9時20分くらいに会社に着いたら大山(仮名)さんという20ちょっと過ぎの女の検針員がもう仕事を終えて帰ってきていた。この人は6時半だか7時ころに出勤して、他の人が出勤してくる頃にさっさと帰ってしまう。「こんなに早く家に帰って何するの」と訊いても「うーん、何しようかなあって考えてたんですよ」と答える。

こんなに早く仕事をやってしまう理由を聞いても「いや別に」とかわされてしまう。彼女の背後には一体何があるというのか。しかし、朝の6時からあのアムロばりの眉毛を描くというのはスゴイなあ。

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イメージ写真

今日の現場はB町6丁目とK町2丁目。検針コースは2ヵ月で一回りするのだが、この日が一番件数が多くて460件だ。しかも一戸建ての住宅街なので歩く距離がやたらと長い。このコースはいつもB町から始めて、某官舎が距離を歩く割に件数をかせげないので面倒だったり(官僚は恵まれてるよな)、小学3年生くらいの大きさの犬がいる囲いの中に入り(犬の糞を踏まないようにして)重たい荷揚げ用パレットをどかしてメーターをやっとみるのがキビシイということはあるが、150件くらいしかないから大したことはない。

大変なのはK町の方だ。合計310件。マンションが120件くらいあるのが救い。マンションはメーターが並んでいるから一戸建てのように一軒ずつ門をあけなくてよい。今日も2軒ほどあったのだが、マンションで風通しをよくするためにドアを開けっ放しにしている家が時々ある。もちろんドアロックはかけているが。

それで、どういうわけかそういう部屋のほとんどが女なんだよな。僕なんかからすると、昼間とはいえ他人も通る場所なんだから女性は気をつけた方がいいんじゃないかって思うだけど、まあ本人もそんなことはわかってるんだろうから余計なお世話だろう。でもどうしてそれが女ばかりなのか?何遍考えてもよくわからない。

このK町も以前書いたH町の元農家のように地主の家がある。面積はよくわからないが、250坪くらいだろうか。木のくぐり戸の中を入ると外の世界とは別世界の完全に昔の農家の世界である。

古いモーター式の井戸、小さい鳥居のついた祠、土間が残る玄関、樹齢100年はたっていそうな木々、庭を通る石畳などなど。でもここには納屋はない。農機具を収納する必要がないからだ。K町には、もうどこにも畑はないのだ。残念ながら。

「水道メーターの検針でーす」と何回か声をかけたが家の中の人に聞こえたか自信がない。家が大きいのと、塀を一つ越えたところにある国道を通る車の音がものすごくうるさいのだ。

このような、今ではほとんど唯一生き残った元農家はアパートやマンションなどを経営しているらしい。この農家のすぐ近くに築40年くらいのボロアパートが3軒ほどあり、これらもこの元農家のものらしい。郵便物などを注意してみなければほとんど廃屋にしか見えないのもある。


今日は曇って日差しが弱かったから助かったものの、そのかわりスンゲエ蒸し暑かった。公園を見つけると水のみ場で顔を洗うんだけど、湿度が高いせいか洗ってもあまりさっぱりしない。

200件目くらいのアパートの2階で奇妙なものを見つけたんだけど、鉢入りでプラスチックの棒で支えられているサボテンに黄色や赤の紙の飾りが巻き付けてあった。なんだか変なことするなーと思ってよく見てみたら短冊が下がっていて、子供の字で何か願い事が書かれている。なんとこれは七夕の笹の替わりなのだ。

僕は今まで生きてきて七夕の飾りをサボテンにやるというのは見たことも聞いたこともない。これは実際に見なければわからないかもしれないが、なんともグロテスクな光景である。刺し身に生クリームをつけて食べるような気持ちの悪さだ。きっと仕事で忙しい親が、ねだる子供のために、面倒だから以前からあったサボテンに飾りつけをしてしまったのだろう。笹を買うのにも金もいるしな。田舎では笹を金を出して買うなんて考えられないことなんだが。

今日はジュースを何本飲んだだろう。コーヒー2本と麦茶、アセロラを1本ずつか。会社に戻ったら5時40分で、僕が最後から2番目に遅かった。明日は今日よりはラクだし、明後日は休みだ。がんばろう。