水道検針日記(199X年7月10日)~漏水を無視すると大変です!

今日の現場はH町とK町4丁目。合計350件くらい。いつものように最初はH町から。ここは大通りから少し入った住宅街で、すぐ近くにゴミ焼却用と思われる巨大な白い煙突が威圧するように聳えている。

やはりここは純粋な住宅街なのであまり人通りもなく、通ったとしても多くは女性や子供である。20件目あたりに200坪くらいありそうな大きな敷地の家がある。昔からの農家なのだろう、納屋があり、屋敷のそばにもう使われていない古井戸がある。比較的中心地から遠いこの地域にはこのように一般には考えられないくらい広い家が時々ある。H町だけではなく、僕の検針担当地域だけで、K町やB町にも昔からの屋敷がある。

大体こういう家は近くにアパートやマンションを何軒も持っている。固定資産税はとても普通には払えないだろうから、農地扱いにでもなっているのだろう。マンションのメーターを見ていたら、若いお母さんが双子の赤ちゃんを前後に二人のり用ベビーカーに乗せて出かけていった。二人ともそっくり。

その後、K町へ。商店街の来々軒という中華屋で昼食。おにぎりを食べようかとも思ったのだが、店でゆっくり新聞を読みたかった。ここK町には時代の流れを無視したような価格破壊の値段で飯が食える店がある。炒飯360円、カツどん400円は安いでしょ。

今日のK町の現場は駅前周辺だ。7割方マンションなので楽なんだけど、この冊には「◎◎ギャルズ(仮名)」ほどではないが、多少僕を憂鬱にさせる店があって、そこは「××大王(仮名)」という飲食店で、メーターがカウンターの中にあるため、メーターを見るためには働いている人に一度場所をあけてもらわなければならない。

でも、客相手にも無愛想で有名なとにかく威勢のいい店なので、水道検針くらいでは簡単にどいてくれない(ことが今までは多かった)。こっちもどう見ても右翼か総会屋にしか見えない男やテキヤみたいな相手に向かって強く出れない。はっきり言ってビビる。

去年、水冷式冷蔵庫を使っているこの店が、水を勢いよく出しっぱなしにしていて、僕は水量が前回の3~4倍になっていることをちゃんと言ったのだが、でも店員は「何か変わったことありましたか」という言葉にも「ないね」としか言わなかった。こちらとしてもこれ以上どうしようもできない。それで銀行から20万も引き落とされているのに気づいた江戸っ子風店長に「あんたどうして言ってくんなかったんだい」と文句を言われた。これも店員教育が悪かったんだし、元々この店長も30秒ですむ検針を場所をあけるのをめんどくさがって「明日来てくれ」なんて言うようだからこうなるんだよ。

K町の駅前には小さな噴水がある。ここも僕の検針場所なのだが、この噴水のある池にはよく自転車が投げ込まれている(わざわざ水につかってよっこらしょと自転車を置く人もいないだろう)。多い時には3台くらいある。僕はなぜかこういう池の中に自転車がある光景が好きだ。何かこう心安らぐものがある。水面からタイヤとハンドルだけ空中に浮かんでいるのを見ると、現代前衛美術を見るような意表をつかれた思いがする。でも、今日は自転車なかったな。公園課の人か誰かが引き上げてしまったのだろう。残念。酔っ払いの活躍に期待しよう。今日は、昨日より10℃も気温が低く仕事には楽だった。明日は雨かな。