水道検針日記(199X年8月1日)~会社の納涼会

あっという間に月末1週間の休みも終わり、今日からまた仕事が始まった。行きたくない。ああ、いやだ。部屋で寝ていたい。でもそんなことばかり言ってられないので、仕方なく会社へ。でも今日は休み中の夜更かしの癖がぬけずに11時目が覚めた。

会社に着いたのは12時。他の検針員は大体すでに現場に出ていた。事務の女性2人が「笑っていいとも」を見ていた。なんであの番組に出ている人たちはあんなにテンションが高いんだろう。なんだか見てると疲れる。ぶつぶつ。

今日の現場はK町5丁目。合計280件。ここは2冊だが、冊と冊の間がとなりあっているので非常にうれしい。現場は隣町との境にあり、駅から歩いても大した距離ではないので、電車で行った。こちらにはまだ通りから少し入ると昔からの小さな天ぷら屋や八百屋、肉屋などが元気に軒を並べている。都会に小さな店舗が残っているのは人口が密集していて大きなスーパーができにくいからだろう。

そんなことを思いながら検針の場所へ。中身がみっちり詰まった住宅地なので検針には楽なところだ。商店街みたいな波乱はない。安田さんと高橋さんは気を遣ってくれて車の場所をずらしてメーターを見やすくしてくれていた。マンションのメーターボックスを開けるためのカギを忘れたり、突然バッテリーが切れてしまった他は滞りなく終了。あ、でも今日は銭湯が休みで中の井戸メーターが見れなかったな。3時45分頃終了。

帰りはまた電車で会社に。午後4時の電車はガラガラだ。高架から街を望むと果てしなく住宅やビルや送電用の鉄塔が続いている。その一つ一つの家や部屋にメーターがあるんだと思うと、スゲーと唸ってしまうよりも新たな仕事への熱意に燃やし、思わず手すりを握り締める筆者であった。アハハ。

f:id:m518994:20210315214554j:plain

イメージ

仕事の後、今日は会社の納涼会があった。これは検針員は参加が自由なので、半分くらいしか来ない。僕は行った。酒を飲みながら仕事の話をすると「いつまでもやってる仕事じゃないよな」ということになって、でも他にアテがあるわけでもないから、場が暗くなる。うう。信じていたTさんが辞めて田舎に帰るらしいし。同僚が仕事に見切りをつけてやめると、残った者は不安になる。

あとは、2人ほど社員の過去の職歴を聞いたら、一人はセールスマンをしていたという。英語の教材を売ると今から20数年前で歩合で5万円くらいもらえたそうだ。その教材はいくらしたんだろう。うーむ。

でも、それってキャッチセールスまがいじゃないんですか? と僕が訊くと「いや、そうじゃないよ。どんな教材を使ってもそれでしっかり英語を話せる人はいる。活かすか活かさないかは本人の問題だ。それに俺なんかは、教材を売るというより、夢を売ってるつもりだったなあ。そうとも思わないとやってられないしねえ」と語ってくれた。そうか、いろんなセールスは、実体よりも夢を売ることだったんだ。今日はいいことを聴いた。ありがとう、M田さん。