水道検針日記(199Z年4月15日)~広末似のばあさん

今日の天気はどうだったろう。確か快晴とはいわないまでも、けっこうよく晴れ、気温もそこそこ上がったような気がする。昨日は天気が良くて昼間は暑いぐらいだったけど、夜になったらかなり寒かった。これが段々気温が上がっていくと、蒸し暑くなって検針には辛い季節になるんだな。

今日の現場は2冊ともU町。現場も隣り合っているので移動の手間がなくて楽だ。今日の冊の特徴としては、養子勧誘ばあさんと広末涼子似のばあさんと、メーターの上に常にダンボールが山積みになっている家があることか。

まず、養子勧誘ばあさんについては、僕が検針に来た時には、庭に水撒きをした後があって、ばあさんが在宅中のようだった。前回はチョコレートをもらったものの、25分ぐらい拘束されて彼女の身の回りの人の話を聞かされてしんどかったので、今回はパス。半年に一度でいいだろう。

だから、ばあさんに発見されないよう、なるべくメーターボックスを開閉するときに音をたてないように神経を使った。ヒヤヒヤしたよ。その後、中(にある)メーターのため、毎回、戸を開けてもらう家に行ったら、おばさんに「**さんとオハナシした?」と訊かれた。

「いやー、今日はちょっと遠慮しちゃいましたよ。……この前ゆっくり話したし」と僕が答えると「ううん、それでいーのよ。あたしもねぇ、この前は30分も捉まってねえ。年とるとああなっちゃうのよねえ」とおばさんが言った。**さんも若い頃とまで言わなくとも、旦那さんが生きている頃は、誰彼かまわず話し相手を見つけて、一方的に何十分も話を聞かせるようなことはなかったろうに。年をとるということは、やはりこういうことなのか。

その後、輸入業を営んでいて、メーターの上に毎回5,6個のダンボールが2列も積載している家では、今回も僕が一人で箱をどかした。参るなあ。多少、威圧的に脅しをかければ(「あんたねぇ、こんな風に置かれると困るんだよー」とかさ)対応も変わるんだろうけど、そういうのもイヤだしなぁ。

家が狭いからどうしても、メーターの上にもダンボールを置く必要があるのは分かるけど、もう売れないとわかっている便所の詰まりを直す器具は処分したらどうだ。

それから、あの広末ばあさんに家に行った。この家は毎回、横の木戸をばあさんに開けてもらうので、今回も広末ばあさんと話をした。「もう大分あったかくなって良かったわねえ。この前の検針の時にはすごく寒かったけどねえ」とにこやかに声をかけてもらった。

それで僕が「ねえ、中田さん(仮名)、あれ(広末涼子に似ているかどうか)、お友達に訊いてみました?」と聞くと、「もお、と~んでもない、そんなこと聞けないわよー」と照れた様子で言っていた。今日また改めて、そのばあさんの顔を見てみたけど、まさか本物と見間違える人はいないとしても(当たり前だ)、八重歯のあたりが広末に似ている。

八重歯があるってことは、70代にして入れ歯じゃないってことだよね。前歯が3枚ぐらいなかったものの、下の前歯はちゃんとしている様子だったし。広末ばあさんは、広末に似ていると言われて満更でもなさそうだった。いいことをした。

その後、ワンルームマンションに入ろうとしたのだが、1年ぐらいまえに管理会社に暗証番号を変更されて、新しい番号は教えてもらえないので、仕方なく全部の部屋のインタホンを押した。でも、誰からも反応がなかったので、入居者が出入りするのを待つしかなく、時間に余裕があったせいもあって、建物の前でぼーっとしてたら、結局、30分も無為に待つことになった。

40戸もあるマンションなのに、そういうこともあるんだなぁ。午前中に来れば管理人が掃除をしているから、中に入れるのに、今日はそのことをすっかり忘れていたのだ。

帰社してから、入居者の名前と入居日をおしえてもらうために、2軒ほど不動産屋に電話をかけた。社員としては、特に異動の季節であることもあって、検針員に不動産屋に電話をしてまでも、なんとか入居をとってきてもらいたいのだが、検針員としてはそれが面倒なので、電話をするか・しないかというのは、迷うところだ。

僕は毎日のようにかけている。小川君はやらないそうだ。僕はなんとなく社員が恐いんだなぁ。入って1年目ぐらいはそんなこと何ともなかったんだけど。13日(火)に某区民センターで組合と会社との再団体交渉があった。前回、一ヵ月前に行った団交の後、組合が再要求をして、それに対する回答と交渉をするためだ。

前回では、検針単価(メーターを一個見る単価)の賃上げと再調査の賃上げと報奨金の査定項目の見直しを求め、全て拒否された。今回は、報償金制度において、皆勤賞として2000円つけろと組合が要求した。回答としては、×。景気が悪くて、行政からの会社への検針委託料も下がっているし、拒否されるのはわかっているが、今後のことも考えると組合としては要求を出しつづけるしかない。

30分の休憩を含めて6時~9時まで交渉をした。僕は、少し前に行われた打ち合わせをサボったせいもあって、話の内容がいま一つ理解できず、交渉の時はほとんど何も言わなかった。負けるのが分かっているせいもあって、早く交渉が終わって、居酒屋に行ってビール飲んでピザを食べたい、とそんなことばかり不謹慎にも考えていた。

交渉の様子としては、委員長と演劇おばさんBが労働法などを持ち出して、正攻法に穏当に議論していくのに対して、演劇おばさんAは「あのさー、あたしたち検針員は、2年前に一方的に報償金制度が変えられて、実質的に賃下げになってすごい憤慨してるのよー。皆さん、そういうあたしたちの気持ちわかってんのお?」と、シックなスーツに身を包んだ会社の役員達に極めてくだけた調子で話し掛けていた。

それを向こうも面白がっているようだった。これが女だから受け入れられるんであって、僕なんかがそんな口きいたら、雰囲気的にマズくなるんだろうな。交渉が終わって、駅前の「甘太郎」で飲み会。

今回の交渉で、例えば、報償金とはどういうもので、その制度を変えることの正当性とか、検針員の持ち込みバイクのガソリン補給のカットを巡り、ガソリンが検針業務のための必要品として認められるべきかとか、議論して相手を論破していく理屈の勝負だということがわかった。それが、今まで委員長がしきりに言っていた「団交に数は関係ない」という意味なのだろう。でもね、いくら正しいことを言って、会社側を論破したとしても、その正しさを認めさせるのは、結局「力」なんだよね。

「力」っていうのは物理的な数が最も大きい。交渉の時に、2年前みたいに、会社側が4人、組合側が委員長と井手君の二人だけではナメられるし、そんなんじゃ全然恐くないし、勝てるはずがない。これから、今回の団交の話などを報告するために、組合員以外の検針員に向けて通信を作ることになった。ああ、疲れたなあ。組合活動は、遣り甲斐があることだけど、**に僕一人しかいないというのは辛いなぁ。

水道検針日記(199Z年4月12日)~4月は入居の季節

10日ぶりの検針日記か。この間、書きたいと思う日もあったのだけど、いろいろと身の回りでゴタゴタがあって、あまりその余裕がなかった。インターネットの負の部分を身に沁みてわかったような。まぁ、でもゴタゴタがあっても悪いことばかりでもなくて、それを通じて改めて友達を得るようなこともある。うん。元気に行こう。

何時の間にか4月も半ば。段々春めいてきましたね。もうこれからは、寒の戻りもないだろう。桜も咲いて、新芽も頭をのぞかせ、緑が鮮やかになっていく。自然の摂理は変わることがない。

時の流れの早さに、時折、軽いため息をつきながらも、仕事がイヤなものだから、唯一、月末の連休を希望にして「早く終われ、早く終われ」と念じながら頑張ってます。今週は水曜日が中休みだ。嬉しい。それで、明日が会社と組合との再団交がある。うーん、前回の3月半ばの団体交渉では、ほぼ完全に要求が拒否されただけに、今回も厳しい状況だ。

ところで、4月は検針業界にとって一年の内で一番忙しい時期。4月から新年度が始まるので、会社での移動や学生が地方から上京してきたりと、いろいろあるでしょ? 「検針業界にとって」と言っても、当地だけでも区市町村によって事情がかなり違うから一概には言えないかもしれない。例えば**みたいな古くからの下町では、アパートも多くないし、学生が住む地域でもないので、大したことがないけれど、*****は小さなアパートがたくさんあって、学生とかプータローなど若年層が2,3年で激しく移動するところなので、入居調査が大変なのだ。

入居してすぐに連絡する人ばかりでもないんで、仕方なく不動産屋に問い合わせの電話をすることが多い。この季節に引越してくるのは、学生が大半なので、部屋に居るケースもよくある。このところ、毎日、そんな学生と顔を合わせているんだけど、みんな二十歳前後で、中には地方から上京してきたばかりで、これからの生活にいろいろな希望を抱いているのが伺われて、かつての自分を見るようだ。

先日、W町で入居調査で、二十歳過ぎ位の眉毛の太さが3ミリしかない女の子に名前と入居日を聞いていたら、その間、彼女はずうっと僕が着ている作業着を怪訝な顔して見ていた。「なんでガッチャマンの格好した男が水道のことを聞いてくるの?」とその顔に書いてあった。なんだよ、俺だって好きで着てるんじゃねーんだ、と言い分けしても仕方ない。人生って不条理なものさ。

この前、検針中に水道局の人とすれ違った時に、この格好を笑われた。大垣君(仮名)は、3月まで作業服を着て自転車で通勤してたのに、今では汚いジーパンとよれよれのトレーナー姿だ(それでいいのか大垣?)。

新しい作業着になって早くも10日あまり。最初は人権侵害だとか文句がブーブー出ていたものだが、意外にも早くも不満の声は聞こえなくなっている。もちろん、「こんなの着て表を歩くなんて……」という感想はある筈だが、こんなわずかな期間ですでにこのデザインに感覚が麻痺してしまっている。どうせプライベートじゃなくて仕事の間だけなんだから、どうでもいいよ、というわけだ。

人間なんでも慣れないものはない、という言葉は本当だ。慣れの問題の他に、機能的に以前の作業着よりもはるかに着やすいというのがある。具体的に言うと、生地が柔らかくて動きやすい。以前のようなボタン式ではなく、ファスナーなので風が強いときは防寒性が高い。でも、こういうデザインに慣れてしまうというのもねえ。私服でもガッチャマンみたいな格好になっちゃったりして。

ところで今日の現場はE町とK町。合計350件。午前中は霧雨が降っていたが、午後から薄日が差してきた。E町から始めて、のんびり歩いてやった。今日はクルマの積載もなく、比較的順調に進んだ。いつもオンボロのワーゲンを狭い庭に、壁際までギリギリに寄せて停める家があって、いつも僕は下にもぐってメーターを見なければならず、その家の人を呪っていたのだが、今日行ったら、なんとそこの家は売りに出されていた。ヨシッ。今日はこれで一ついいことがあったぞ。

次回、この家に来たら、また同じ状況になっている可能性も大いにあるが、それはその時のことだ。

E町を済ませて、K町の宝「***(名前を忘れた)」で炒飯を食べて検針。ここの冊には、以前、声をかけずに(僕は声はかけたのだが、家人には聞こえなかった)僕がメーターを見たことでちょっとモメた家がある。そこの家では、バイクが一回と自転車が二回盗難にあって、当時、かなり神経質になっていたのだ。

それから、僕は毎回、ベルを鳴らしてオヤジに「水道検針でーす」とことわってメーターを見るようにしている。一時はお互い感情的な対立になりかけたのだが、もう大丈夫。

今日の検針で、使用量がほとんどゼロで、人が住んでいる気配がない家があって、隣の家の人に「あのー、このままでも基本料だけはかかっちゃいますけど、いいんでしょうかねー?」と僕が聞いたところ、なんでもその家は老夫婦がそろって入院していたが、最近になって次々と二人とも死んでしまい、財産として残った家は、子供(心の病気で入院中)と他の親族が相続するのだが、その配分を巡って裁判中とかで、大変なことになっているとのことだった。

以前、九州かどこかで遺産相続の争いで、騒動にうんざりした男が歩道橋から一万円札を何百枚もバラまいた話を思い出した。金がないのもツライというか大変だけど、骨肉の争いというのも相当にしんどい。こんなもん、初めからなければ人を怨むようなことにもならずに済んだのに……って当人たちは思うこともあるんじゃないだろうか。

かつて、僕は独り暮らしのばあさんに養子を勧誘されたことがあるけど、やっぱり断ってよかったね。

水道検針日記(199Z年4月2日)~旅行帰りの検針

皆さんこんにちは。3月21日~30日の10日間、香港4泊-中国・広州3泊-マカオ1泊-香港1泊して無事帰ってきました。期待していたよりずっと楽しかったです。食べ物はうまいし、宿で会った人達との交流も面白かったしね。

今回は旅行記を書きますんで、もしよかったら読んでみてください。30日に成田に着いたら、その日の香港も少し肌寒かったけど、日本は当然もっと寒くて、おまけに雨まで降ってるし、風邪ひいててくしゃみがとまらないし、成田エクスプレス以外は1時間先しかないので、仕方なく京成に乗ったりで辛かった。

昨日、検針の仕事がまた始まった。検針は12日ぶりだし、旅行明けだしで仕事イヤだったね。でも、毎月似たようなこと言ってるか? 仕事やらないで、たまに旅行にブラっとでかけてあとは本を読んだり音楽聴いたり、交流して暮らせたらイイのにな~と思わずにいられません。

ところで今月から作業服が変わった。以前にも書いたけど、ほんと~に物凄いデザインなんですよ。だって「機動戦士ガッチャマン」みたいなんだもん。当地に住んでいる方は、濃い青の地に脇と腕に蛍光色っぽい黄色い幅広の線、それと襟の内側が赤のめまいがするような服装の人をみたら同情してあげてください。N.Yに住むデザイナーの友人トモゾウさんが見たらショックで痙攣を起こすかもしれない。危険です。

服の着心地としては、以前のものよりも生地が柔らかくて着やすい。それに自分が着て検針している時は、鏡を見ない限りその姿を見ないから、あんまり気にならないというか、思ったよりも大したことないじゃん、杞憂だったなと思っていたんだけど、仕事が終わって会社に戻るでしょ、それで同僚の姿を見ると「ああ、俺もこんな強烈なの着てるんだ……」って脱力しちゃうんだよね。黄色が明るすぎて目が痛くなるし。

同僚の作業服に対する意見としては、「人権無視」「いじめ」というのを聞いた。一体誰が、この服のデザインをしたんだろう。どういうセンスの人がこんなデザインを考え付くことができたのか。検針会社なんて水道局に対して何にも文句言えないから、だまって戴くしかないからね。検針会社が文句言えないものを検針員がケチつけるなんて身分をわきまえないおこがましい話なんだよ。

ところで今日の現場はH町とK町。合計360件ぐらい。なんだか、まだ旅行の名残が残っているのか、以前のような検針に対する感覚が戻らない。なんだかしっくりこないんだな。検針ってこんなだったっけかな、という。体は勝手にどんどん動くんだけど。

今日は風が強かったものの、天気がよくて暖かい一日だった。Tシャツ姿の人まで見かけた。体を動かしていると少し汗ばんだ。これから暖かくなるにつれて段々仕事がキツクなる。毛虫も出るし。仕事としては夏より冬の方がやりやすいね。

H町が2時間ぐらいで終わって、昨日検針したK町の再調査。それからセブンイレブンでサンドイッチとおにぎりを買って、K町の数ある小さな公園のベンチに座って昼休み。今日は暖かいしね。

それで公園にあった『週刊ビッグコミックスピリッツ』をぱらぱらとめくっていたら、年の頃60代半ばぐらいのおじさんが「おお~い」とニコやかにやってきて僕が座っているのと隣のベンチに腰掛けた。手にはビニールの袋に入った日本酒があった。そのベンチには下に二つ車輪がついたバッグが紐で結わえてあって、ベンチと後ろの花壇の間には雑誌が何冊か積まれていた。

で、おじさんは、その雑誌の中からニヤっと笑って『デラべっぴん』を選び出して「見るぅ?」と僕に訊いた。笑った口元には上顎の方にボロボロの歯が二本だけ残っていた。その顔全体は、かなり深い皺が何十本も走っている。(『デラべっぴん』はコンビニ等で販売中です。どんな雑誌か知りたい方はご自分で確認してね。)

僕は「いやー、でもねぇ、そんなもん見ちゃうと仕事になんないからさ」と丁重に断った。本当に、あんなの見たら、その後の仕事中に悶々としかねないからね。

おじさんは、よく通る低くて太い声で、自分はユンボウ(パワーシャベル)と建設現場の足場組みの専門家で、この世界で40年ぐらい生きてきたこと、ユンボウの仕事は楽なもんだが、解体の時は回りの家まで壊したり、同僚を殺(あや)めてしまう可能性があるので難しく、ただの穴掘りなら本当に簡単なこと、しかし機械の振動が大きいので職業病としてどうしても胃が下がってきておかしくなってしまう、大抵のユンボウ操縦者は胃が悪いこと、ユンボウのメーカーはいくつかあるが、コマツのものが一番操縦が楽で誰でも動かせるが、三菱とあと他の一社のものはある程度ベテランじゃないとうまく扱えない、各社で操作レバーの動かし方が違うので、やりにくいということ等を話してくれた。

それで、おじさんと話をしながら、この人は昼間になんでこんなところにいるんだろう、と思ってたら、「ここにいても警察は何にも言わねえよ。だって何にも悪いことしてねーもん。ここはいいんだよ。これ(と言って親指で都知事選の選挙ポスター掲示板を指す)があるから、道からこっち見えねえだろ、それに風も防いでくれるんだよ」と言うので、やっぱりホームレスみたいだった。

最近は、景気が悪いから、コンビニで万引きしてわざと警察に捉まろうとする人が多いんだそうだ。野宿するよりは雨風がしのげる家の中で三食付きの生活をした方がいいというわけだ。そういう魂胆を警察もわかっているし、実際、留置場もその手の人々で一杯らしいので、万引きぐらいでは逮捕しても泊めてはくれないんだそうだ。そうか、そういう世相なんだ。

そういえば、何年か前に新聞で読んだんだけど、犯罪を何回も犯して長年刑務所で暮らした人は、年をとってから一般社会でいろいろとうまくやっていくのが難しいから、刑務所に入るために、何か人を傷つけたり重大な損害を与えるものではない、手頃な犯罪を犯して、のんびり余生を塀の中で暮らしてるんだそうだ。刑務所が養老院の役割を担ってるんだな。

K町の検針を終えて、会社に戻って、同僚と新しい作業服の話をした。もうみんな諦めて笑ってた。今週は二日働いただけで週末の休みだ。旅行の疲れをゆっくりとろう。来週は中休みがないんで、今から憂鬱だなんて、言ったら普通の会社員の人に怒られるね。

水道検針日記(199Z年3月20日)~11連休のために

今日は土曜日なのに出勤した。こういうことは非常に珍しい。土曜日に更新するなんて検針日記始まって以来のことだと思う。土曜日は基本的に検針業務はなくて再調査だけなので、そのためだけに出勤するなんてメンドウだもんね。

検針員の中には土曜日に必ず再調査をやりに出てくる人もいるし、月に一回ぐらい出る人もいる。そんな中で僕は年に一回あるかないかだ。けっこう徹底してるかもしれない。中にはクルマが積載してあって土曜日にしかメーターを見れない家もあるのだが、あっさり社員の人にまかしてしまう。

せっかくの(基本的には)休みの日なので、ゆっくり昼近くまで寝ていたいよ。だから、今日僕が出勤してきたら、社員の人がびっくりしてしまって、「**さん、土曜は12時半までに帰ってきてもらわないと困るんですけど、大丈夫ですか?」と確認しに来た。出勤したのが10時半で、再調査の現場はB町なので1時間もかからないので問題ない。

なんでそんな僕が土曜日に会社に来たかというと、23、24日の最終の検針を休むため、金曜の分の再調査は土曜にやる必要がある。二日間休むので、月末休みを含めて今月は明日(日曜)から11連休だ! ははは。普通の会社員には考えにくい休みの取り方だよね。もし11連休とれたら、あなたならどう過ごしますか(読者の中には800連休ぐらいしてる人もいるみたいだけど)? まぁ、僕は旅行に行くことにしました。行先は香港と中国。中国は香港から近い地域に限られるけど。

同じようなことを考える人はやっぱりいて、検針員の小川くんは3年半ぶりぐらいに故郷の長崎に帰省するんだそうだ。なんでも青春18キップを使って、まず初日に京都まで行き、京都から23時頃の快速で博多まで。朝の7時頃に博多到着してから、少し浪人生活を送った懐かしい博多の街をブラついてから長崎に帰るとのこと。

帰りはどうするんだと僕が訊くと、なんでもまた18キップで、今度は三日かけて東京に戻ってくるらしい。帰りまでもあの鈍行の旅を50時間もするというのは奇特というか、けっこうな変人だ。僕だったら多少の金を払っても、もっと楽に帰る。今月は、25日の再調日を抜かしても、休みが六日間もあるので、どこかに出かける人は多いだろう。

読者の中には、なんで香港なんだ? と思う人がいるかもしれけど、特に深い意味はないです。なんとなくです。最初はタイに行こうかと思ったものの、学生の旅行シーズンと重なっているとかですでに席はなく、仕方なくその場で香港に変えた。香港なんて、年間何十万人も日本人が訪れているところだし、僕は多少旅慣れているから、もう余裕だろうなんて思ったら、あまりそんなことなくて、割と不安がある。

インターネットのホームページに、時々、海外行方不明者捜索ページがあるよね。僕だって外国で行方不明になる日本人はけっこういるらしいということは知っていたけど、あれ見てたら、不明者の顔写真やら会社や大学などの所属先など生々しい情報があるので、なんだか全然他人ごととは思えなくなってきた。被害の半分は運だしね。沢木耕太郎もどこかに書いていたけど、外国に旅行にきているというだけで、すでに絶対的に危険に身を晒していることになる。

今からすると、かつて革命直後のルーマニアとか内戦中のエルサルバドルなんかによく行ったものだと思うなぁ。あまり物事を知らなかったし、今よりも恐いものが全然なかった。むしろ、そんな危険やスリルを求めていたんだな。

それで雨の中、再調査へ。カッパを着て冷たい雨の中、B町へ。今日は最高気温が10℃前後と真冬の寒さだった。先日、5月のような爽やかさだったが、やはり寒の戻りがあったか。作業自体は移動も含めて40分ぐらいで終わった。雨に濡れて手がかじかんだ。

ところで、会社との団体交渉が終わって事務所に戻ってきて、社員の人たちの僕に対する反応の変化があるかな、と思ったけど、特に変わったことはない。去年、団交から帰ってきてから、僕に関して動向が軽くチェックされているという情報が入ってきたので、今年もビラまき、説得などのオルグ活動をしていないか、僕と他の検針員との会話を社員が折りに触れ盗み聞きしているのではないか、という気がした。気にし過ぎだろうけど。

水道検針日記(199Z年3月18日)~会社との団体交渉

今日は4月のような春の日和だった。作業服は、厚手のものでなくワイシャツのような薄い生地のものを着てちょうどよかった。自転車に乗っても寒くない。街では半袖の子供や若者もけっこう見掛けた。なんだか春を越えて初夏のような感じさえした。

今日は10時少し前に出勤。現場はN町の公団住宅とK町の合計230件ぐらい。初めにN町。ここは、公団住宅といっても比較的緑が多い地域で、特に平屋の方では玄関先に木を植えて家が多い。

前回より4割以上の増減がある家が少ないせいもあって、110件ぐらいを1時間強で終了。それから、昨日やった分の再調査をささっと終え、コンビニでサンドイッチとおにぎりを買い、ヤングサンデービッグコミックスペリオール(『あずみ』が好き)などを立ち読み。それを公園で食べて、それからK町の検針開始。

ここも100件ちょっとなので1時間と少しで終わる冊だ。順調に検針を進めて、半分ぐらいまでいったところで、よくタバコをくれるばあさんがいる家に入った。いつもは鍵がかかってばあさんに開けてもらっているが、今回はかかってなかったので「水道検針でーす」と言いつつ、メーターがある隣家との壁際へ。

メーターのところに行ったら、いつもは何も載っていない蓋の上にエロ本が一冊積載していた。表紙からするとどうやら洋物だ。雨にぬれたのかちょっと重い。一体、なんでこんなところに唐突に一冊だけ、ポツンとエロ本があるのか不審に思いつつ、パラパラと軽くページをめくってから、検針をした。それで思ったんだけど、可能性として、

仮説1.ばあさんが、どこかで入手したエロ本を僕のために好意でメーターの上に置いてくれた。

仮説2.誰かが道路から投げ捨てたエロ本がたまたまメーターの上にのっかった。

という2点が考えられた。一般的には2を採る人が多いだろうが、あのとぼけたばあさんならまんざら1の確率も低くないと思う。でもさ、あのばあさんがくれるものって、僕はタバコは吸わないし、エロ本(くれたと仮定)は別に好きじゃないし、(まぁ、嬉しいんだけど)あまりロクなものがないんだな。そういえば、エロ本なんて高校生の時以来買ってない。

その家のすぐ近くに、毎回せっけんをくれる、昔、○○庁に務めていたばあさんの家へ。今日も門に「水道検針の方お入りください」と貼紙があった。でも、今回はメーターの傍の木にせっけんはくくりつけられていなかった。

そのうち、物音を聞きつけてばあさんが中から出てきて、草取りのし過ぎで右側の膝の関節が痛くなったので一月近く寝込んでいたとか、もうこれからは草取りは人に金を払ってやってもらわねばならないとか、部屋を貸している学生さんが、実家の経済的事情のために宇都宮に帰ってしまったので、また新たな店子を獲得しなくてはならない、けっこう忙しいのよとか、今回はたまたませっけんを切らしてしまった、申し訳ない(実は、僕は石鹸は同僚にあげている)次はちゃんと補充しておくからね、あなたは、景気が悪いんだしこの仕事辞めちゃだめよ、じゃまた5月に来てね、ということでその家を後にした。

この冊の検針終了がちょうど2時だった。それから会社に戻って、簡単な事務処理をして、事務所を出たのが2時半。今日はそれから****に行った。会社側と組合側の団体交渉があるのだ。交渉は、組合がある----と会社の本部がある**方面のどちらか、毎年交代で行われている。

集合時間は6時半なので、**で軽い用を済ましてそれから**へ。**には某運輸会社時代に何回か来たことがある。でも5,6年ぶりなので大分記憶が薄れていた。イトーヨーカドーやらデパートやら派手な大型店舗があるので、あの泥臭い---はどこへいったのか……と不安を感じたものの、南口に行ったら、ここは大阪か南千住かと見まがうばかりのディープな、スポーツ新聞と失業者の姿がよく似合う町並みがあった。ほっとした。ここには洗練された都会にはない地元住民の土着の落ち着きとお互いをよく知る親密さがある。

時間がかなり余ったので、交渉が行われる勤労者センターみたいなところのロビーで読書して時間をつぶした。6時近くになって駅の待ち合わせ場所に行くと、委員長がすでにいて、演劇おばさんの片割れのAさんが、親族の都合で田舎に帰っているため、今回は参加できないとのことだった。結局、組合側の参加者は、僕、委員長、演劇おばさんB、C君の四人。

予約してある場所は、センターの二階の和室で、ぼくたちが行くと、会社側はすでに席についていた。その前に、みんなで自販機の紙コップコーヒーを飲んで一服。なんだか少し緊張する。しかし、床にヤンキー座りでタバコを吸ってくつろいでいる演劇おばさんBの姿を見て、ちょっとホッとする。

組合側が2月26日付けの要求書で要求した項目は以下の通り。

1.中高層住宅、つまり団地、マンションなどの検針単価の1円アップ。
2.再調手当ての50銭アップ。

3.基準内漏水の発見手当てのアップ。「ピー」音が鳴らない通常通りの使用量でも、漏水を発見したら100円支給→300円に。

4.誤点検をしたら、報償金を減らすのではなく、報償金は以前のように皆勤賞を中心に評価して欲しい。

 

そして、会社側の回答は、景気の更なる悪化、水道局からの委託料の値下げなどもあり、仕事があるだけ有り難く思えというようなことを言いつつ、結果としては全て拒否だった。元々、会社としては給料を下げたくて仕方ないのだから、この不況を利用して押し切らないはずはない。

途中、30分の休憩をはさんで作戦会議を開いて、結局、報償金に皆勤賞を3000円プラスする要求を一つだけ出した。それに対する会社側の回答は、本社に持ち帰り、25日までにファックスで送るということに。尚、4月に毎年行う会社と検針員の契約書の内容の変更は特にないことを確認した。

去年は、変更しないといいながら、60才定年制と検針時間の9-16時制を導入しようとして、組合側が上部団体の労組に頼んで圧力をかけてもらって、それは撤回された経緯がある。

会社側からは総勢四人。役員が一人いた。皆、当然のこととしてネクタイにスーツ。なんだか僕は威圧された。さすが委員長だと思ったのは、そんなことにはまるで怯むことなく、強気で交渉していた。力関係としては、こちらが圧倒的に弱いのだから、もっとなめてかかるような素振りを見せてもよかろうと思ったが、会社としては、無用な刺激や挑発は避けるという意図があるらしい。

下手に検針員を見下すような発言をして、怒りを買い、検針員が組合結集なんてことに

なるのが最悪のはずだ。

それから演劇おばさんBが帰って、3人で居酒屋に入った。僕もなんだかビールが飲みたかった。

居酒屋にはいかにも自営業か肉体労働者風の前歯がなくて濃紺の帽子をかぶった中高年の人が多くいた。こういうのいいね。音楽もかかってないし。すっかり酔っ払って駅に向かうと、駅前にべたっと座り込んだ若いお母さんが子供と一緒にいた。なんだか東南アジアみたいだ。**ってエネルギーがありそうだなぁ。

水道検針日記(199Z年3月15日)~検針ハイ

約一週間ぶりの検針日記。今月に入って二回目だ。この頃は、検針日記のことを考えると、なんだか頭が重たくなるような気がする。

今日の現場はB町三丁目と六丁目。合計310件。今日は、10時20分頃に出勤して、11時前から検針開始。天気予報でかなり激しい雨が降るということは聞いていたので、カッパを持っていったが、予想よりも早く雨がパラパラと降り始めた。

今日は一日どんよりと空が暗く、空気が生暖かかった。カッパを着て仕事をしていると、蒸し熱くて不快指数が高まってかなりイライラした。なんだか梅雨の季節みたいで、とても三月の気候とは思えなかった。でも、今日の最高気温は13℃ぐらいだったかな、大して上がってないんだよね。

この三丁目の方は、塀を乗り越えたり、重い積載物を動かすようなこともなく、癖がなくて比較的やりやすいところで、12時半頃に終了。

それから六丁目に移動。途中でモスバーガーに寄ってハンバーガーを二つ買った。ここのは高いんだけど、まぁ、たまにしか食べないし、この現場の日に定例化するのもいいと思って買っている。でもさ、モスバーガーって丁寧なのはいいんだけど、やっぱりマクドなんかと比べると時間がかかるね。今日は雨が降ったせいか、店員の丁寧な応対を聞いているだけでイライラした。お釣の計算とか「この番号札をお持ちになってしばらくお待ちください」なんて言ってる間に、ラーメン屋みたいに待ってる客の注文だけでも聞いておけばいいじゃないかと思う。

一時過ぎから六丁目の検針開始。それまで雨が止みかけていたので、カッパは脱いでいたのだが、一時半頃になって雨脚が強くなって上だけカッパを着た。動きの邪魔になるうえに通気性のないモノはなるべく着たくないけど、風邪ひいちゃうからね。雨が降ったといっても今日のは、長靴もいらないほどの弱いものだったので、多少イラつくだけで大変な目にはあわなかった。

そういえば今年は雪が降らなくて助かったなぁ。今日の冊は比較的楽なところで、時間的余裕があったのでノンビリやることにした。この冊には、三分の二程終わったところに面倒な家がある。

塀を乗り越えて(塀と住宅の幅が狭くて入れない)敷地に入り、犬が掘り返した土に埋まったメーターボックスを見つけ、ボックスの蓋を開けたら今度は土を掘り返して、やっと埋まったメーターの指針を見ることができる。

しかも塀に登るのに大きく伸びた紫陽花の木の枝が邪魔して苦労が多い。特に夏場は、枝は伸びるし葉っぱと花でいっぱいで塀からなかなか下に降りられないぐらいだ。さらに、この家には本当は臆病なくせにやたらに吠えるバカ犬がいてすごくうるさい。僕が塀に登る時と塀から降りるときに噛まれるんじゃないかといつもヒヤヒヤする。

それで、この犬は僕の姿が見える限り、つまり付近一帯の検針をしている間中ずうっと吠えている。いつか蹴っ飛ばしてやりたい奴だ。それで今日も「ああー、またこの家か……」とため息を吐きかけたら、なんとメーターが玄関前の非常に見やすい位置に移動してあった。多分、メーターボックスが金属製からプラスチックに変わっていたので、業者が水道局の指示を受けて改善していくれたのだろう。利用者もいくらか金を負担したのかもしれない。他にも、塀の内側から外側の道路に面したところに移動してある家があった。助かるな。

K町六丁目の検針を終え、金曜にやった分の再調のため大通りを東にK町へ。あるワンルームマンションで、少し管理人さんと話をしたところ、なんでもマンションの経営者というのは意外と「ヤー公」みたいなのが多くて、管理がいい加減且つ秘密主義で、入居者の氏名を全然教えてくれないんだそうだ。

こういう話は他でもよく聞く。かといって、そういうのも何かと困るので、引越が始まると、業者の人に何号室に運ぶのか聞くなど、管理人さんが自力で名前ぐらいは確かめるらしい(この管理人さんは僕が知る中で最も勤勉な人だ)。

しかし、引越は土日に行われるのが大半なのに、管理人さんの休みも土日なのでそれもなかなか難しい。マンションに入居して、管理人に挨拶しないというのもねえ。引越していくときも、粗大ゴミを引き取ってくれるよう役所に連絡しないで、燃えないゴミのところにポンと置いて行っちゃう人が少なくないらしい。そういういい加減なのは、意外と女が大半で、ゴミの分別も男の方がしっかりやるんだそうだ。

このマンションは大して高くはないのだが、ワンルームだから狭い部屋が各階に蜂の巣みたいに並んでいて、全部で70戸ぐらいはあると思う。こういうところで検針をしていると、メーターとメーターの間が近くて、各メーター間の移動に4秒ぐらいしかかからない。だ

から一戸建ての住宅街と違って、移動の時間に対して下を見る時間の割合が高く、頭に血が上りやすい。50件ぐらいやってると、だんだん頭がクラクラしてきて、エレベーターの中でぼんやり考えごとをしていたら、自分でもびっくりするくらい大きな声で「はっはっは」と笑っていた。これが噂の検針ハイ。

金曜にこのマンションを下から順に上がっていって、最上階から下を眺めると気持ちがいい。遠くに山並みが見えた。平地を歩いているときはなんとも思わないのだが、こうやって上からこんなにもゴミゴミした町並みを見ると、自分が故郷を遠く(でもないか)離れていることを今更のように感じる。

水道検針日記(199Z年3月9日)~久しぶりの検針日記

久しぶりの検針日記。最近(でもないか)なんとなく書く気が涌かない。以前は書くネタがなければないなりに何か強引にでも書いたような気がするけれど、この頃はもーメンドくさくって。

内容がかなりマンネリという指摘もあるしなぁ。まぁ、でもそもそも日記なんてそんなもんだし、水道検針員の日常にダイナミックな動きがあるわけもないんで……。だから、検針をしながら「今日も書くネタがないなぁ……。これで4日更新してない」なんてよく思う。

今日は真冬の寒さだった。先週は18℃まで気温が上がったりして、3月の初旬でもう春の陽気になってしまって気持ち悪かったのが、通常に戻ったということだろう。ここ十年ぐらいか、夏日が続いたり、月間の平均気温が過去最高を記録するようなことがよくあるよね? 

しかもこの温暖化の傾向は地球規模のもので、温暖化は二酸化炭素の増加が原因であり、平均気温が上昇すれば、北極・南極の氷が融けて沿岸地域が水没するとよく言われている。

だから、平年より暖かい日が続くと、僕はなんとなく「ヤバイなあ」と思っていたのだが、最近、本屋でどこかの学者の文庫本を立ち読みしたら、彼が言うには、温暖化が進んでも、その分海面からの蒸発分が増えて南北の極地に雪となって戻るから海面上昇は起こらないし、今から千年ぐらい前までは、気温は現在よりも1℃高かった、それは寒冷の地の青森に、弥生時代の集落としては定説を覆すほどの多数の人口を擁していた山内丸山遺跡が発見されたことからも明らかだ、当時は現在よりも気候が温暖だった、寒冷化は問題だが、温暖化はそうではない、我々が気をつけなければならないのは、温暖化を口実に原子力発電が維持・増設されてしまうことだ、ということだった。

僕はそれを読んで「なるほど、そうかもしれない」と単純に思ったものの、温暖化は陸地の水没を招かないという説をどうして他の学者は主張しないのか、という疑問は残る。どうなんだろう。原発は許さん。でも特に反対の具体的な行動はしてないな。

今日の現場はB町とK町。今日からビラ配布が始まった。

今回のビラは、水道局職員と身分を偽って水質検査をするとして金をとったり、漏水修理を頼んだら、依頼していない部分の修理までされたり、少しの修理に法外な請求をされたりといったことへの注意の呼びかけである。漏水修理の依頼は、必ず事前に料金を確かめてやったほうがいいらしい。

うーん、そうか。水質検査とかなら気をつけてたら大丈夫だけど、漏水修理は悪徳業者に当たると災難だな。工事代の相場なんかわかんないしねぇ。ちなみにこのビラの配布代は1枚につき1円90銭。

B町の検針は12時15分頃に、特に面倒なことも起こらず終了。

それから昨日やった近所の再調査を済ませ、K町へ。空はどんよりと曇ってぽつぽつと雨が落ち、風が冷たかった。昼食は高架傍の定食屋。

1時少し前から検針開始。現場は駅から3,4分のマンションが多い地域だ。冊の初めに12階建てのオートロック・マンションがあって、ここは3階から上に段々と登っていく。初めにエレベーターで12階に登って下に降りていく方が楽だと思うんだけど、僕がこの冊を受け継いだ時にはすでにこのような順番になっていたし、40戸分の順番を組み替えるのはメンドウなのでこのままにしている。それで、3階、4階、5階と上がって行くたびに次第に視界が拓けて遠くまで見渡すことができるようになる。

10階にもなると、遠くのビル群なんかバッチリ。今日は雨で煙っていたものの、晴れた日にビル群を見るとかなり気持ちいい。それで少しの間、そんな景色を眺めていて、ここから立ちションをしたら気持ちいいだろうな~と立ちション愛好家の僕としては、強く引き付けられた。生理的にも準備はできていたし。でも、真っ昼間に水道検針員が駅周辺のマンションの12階から立ちションをしている光景を想像してあまりにキツイので残念ながらパス。

この冊で、全部で5つのマンションの検針をやった。85%くらいマンションだったから雨にも濡れることなく助かった。会社に戻る途中で、雨がみぞれ混じりになってきたので、このまま雪になったらどうしようと想ったが、天気予報によるとそこまで気温は下がらないらしい。

ところで組合と会社の団体交渉の日程が決まった。場所は、今回は*****らしい。さて、明日の現場はK町の駅前の噴水だ。