水道検針日記(199Y年7月13日)~同僚の荒川さん

今日の午前4時からW杯フランス大会決勝が行われた。それで僕は、2時半頃に一旦眠って、4時から観戦し、6時半にまた眠って9時に起床。3時間半しか睡眠時間がなかった。

これでW杯が終わったわけだけれど、もう試合がなくてなんとなく寂しいというよりは、これで試合観戦から解放されてホッとした感の方が強い。なんで午前4時からこんな眠い想いをしてまでサッカーの試合を観なければならないのだろう……という疑問をよく感じていたのだ。

そんなにすごく観たいわけでもないし、また夜の7時頃から再放送されるのはわかっていても、どうせなら駅の売店の夕刊紙で結果を知る前にリアルタイムで観た方が面白いから、というだけで我々サッカーファンは睡眠不足に堪え忍んできたのだ。

なんだか偉そうだけど。結局、フランスが3-0でブラジルを下して優勝。僕としてはまた4年前のようにドゥンガが優勝トロフィーを頭上に高く上げる姿を見たかったなぁ。残念。

 

というわけで、今日は特に午前中はすごく眠たかった。参議院選自民大敗、民主、共産大躍進ということもほとんど思い出すこともなかった(僕は比例、選挙区とも共産党に投票した)。要するに何にも考えてなかった。しかし、消費税はせめて3%に戻して欲しい。

今日の現場は、B町とK町2丁目。合計350件。B町の方の冊の特徴は、大きな旧農家が2件と保育園と某文筆家(クルマはベンツだ)の家があることだ。保育園では、運動場にメーターがあるため、園児たちと交流できる機会を楽しみにしたいたのだが、教室で何かやっているらしく屋外には誰もいなかった。

終わりの方で、うっかりして鉢に足をかけて一部を割ってしまった。インタホンを鳴らしても誰もでないため、鉢を壊して申し訳ないこと、もし弁償を求めるならば連絡をしてほしい旨のメモをポストに入れておいた。これで処置はよかったのかな……。

 

それからK町の北口商店街へ。30件目くらいのとこに4坪ほどの小さな小料理屋が3軒並んでいるとこがあって、そこの一軒が漏水していた。そのメーターを見るには、幅50cmもない家と家の間をカニ歩きで3mほど行き、そこでパイプを擦り抜けねばならない。

つまりただでさえ狭い家と家の間にさらに塩ビのパイプが立っている。すり抜けるとき、胸がけっこう苦しい。なんとかメーターを見て、奥から戻ってきたら、一方の側の家で店を経営しているばあさんに「あんたも大変だねえ」と声をかけられた。

それで「検針するたびにトタンの壁が傷むからメーターをもっと道路沿いに出してほしい」と小料理屋の家主に言ったら「うるせえ、ガタガタぬかすとてめえんちに火をつけるぞ」と脅されたそうである。恐いですねー。

水道メーターを移動させるのに一体どれくらい費用がかかるものなのか、その場合の負担は全面的に使用者が払うものか、細かいことは僕にもわからない。

ここの冊には、元気な犬のハッピーがいる。このハッピーがいる家の庭に散水用のメーターがあり、庭に行くにはハッピーが住む小屋の前を通らなければならないのだけれど、この犬はものすごく狂ったように僕に向かって激しく吠える。飼い主のばあさんでは、とても抑えきれない。

僕としても、とてもハッピーのすぐ横を通る勇気はない。だから仕方なく、裏の隣家の庭の方から垣根を越えて行くしかない。でも、一口に垣根を越えるといっても、茨があったり、柵が高かったり、大きな石が転がってたりとなかなか大変である。行くたびに足や肩をどこかにぶつけている気がする。

 

会社に戻ったのはちょうど4時半頃で、メモリカードや再調査の用紙を提出して、更衣室で着替えてたら同僚の大宮に住む荒川さん(仮名)もいて、一緒に駅まで行くうちに「ビールでも飲もうよ」ということになって、駅前の汚い焼き鳥屋に入った。一階はカウンターと立ち食いで、二階は座敷。

我々は二人なので二階に通された。まだ5時なのでそんなに人はいない。窓のすぐ下に駅のホームが見える。実をいうと、僕は、検針を始めて2年ちょっとの間に検針員とこうやって飲みに行くというのはほとんど初めての経験である(ドトールなら3,4回あったが)。

検針員同士は大体バラバラで、職場であまりの交流がない。お互い、インターネットをやっていることから、なんとか各地にいる検針員同士の交流が生まれないかなぁということを話した。

荒川氏によると、僕は我々の営業所の中でもなんだかふてぶてしい態度に見えるらしい。そう言えば、先日、友人から「態度が偉そう」だと言われた。そうかなあ……。荒川氏には、同僚には初めてこの検針日記の存在を告白した。

全部で40人くらいいるんだから中にはインターネットをやっていて、「水道検針」を検索でかける人がいそうなものだが、まだ僕にそのことで声をかえてきた人はいない。どうなのかなぁ。ところで、すきっ腹にビールはよくまわるなぁ。