水道検針日記(199Y年9月3日)~検針する飲み屋の飲みに行くと・・・

先月の末に台風4号が近づいて関東に上陸するのかとヒヤヒヤしたが、予報が外れて東にそれてよかった。台風の中で検針するのはけっこう大変なのだ。

去年の6月に一度だけ暴風雨の中で働いたことがある。風が強いから「おしらせ」という料金などが書かれた紙が飛んでしまったり濡れてしまったり(感熱紙なので水に濡れるとヘナヘナになってしまう)といろいろ大変だ。

まぁ、僕も台風が来ること自体は比較的好きで、ものすごい風が音をたてて吹き荒れて、大きな木が折れんばかりに翻弄されるのを観るとワクワクしちゃう方なんだけど、自分がその中で働くとなると話は別である。

ところで、今週は火曜日から仕事が始まった。曇りの涼しい過ごしやすい日が続いて検針には嬉しい日和だ。昨日はK町の商店街を検針した。ピンサロの呼び込みや焼肉屋のオヤジに文句を言われることもなく、平穏に終わった。

それで、昨日は秋田から学生時代の友達が遊びに来たのでK町でメシを食べて、それから数人で酒を飲んだ。昼間に検針して歩いた道を夜になってブラブラ歩くのは、少し気分的に疲れる。

私生活に仕事を持ち込みたくないのだが、どうしても「ああ、この店は空き家じゃなくて、昼間休みでいつも夜やってるのか……」とか「いつも眠そうな顔している飯屋のオヤジも夜になると引き締まってるなー」とかついつい観察してしまう。

飲みに行った店が、翌日(つまり今日)検針するところだった。一人で切り盛りしている主人にも聴取したことがある。「あ、あんた水道屋さんじゃないか!」なんて言われなくてよかった。この店は店内にメーターがあって、僕が検針する頃はまだ閉まっていることが多い。トイレにたったついでにそっとメーターを開けて指針を見てみた。

今日は、多少昨日の疲れが残っていたのか、目覚ましがなってから起きるまで30分かかった。出勤時間は10時20分。現場はH町とK町3丁目。合計310件。特に出来事もなく終わったが、今日は漏水が多かった。今日一日で五件はあった。

「漏水してるみたいですね」と僕が言うとお客さんは(主に主婦)一様に眉間に皺をよせ「困ったわねえ」と憂鬱そうな顔をする。そういう人の顔を見ていると、僕には責任はないのだが、時々、「ごめんなさいね」と謝ってしまいそうになる。工事代だけでもけっこうしそうだものね。

会社に戻ったのは4時50分で、20分の遅刻。寝坊が悪かったのだ。会社に入って2ヶ月目で、まだメーター位置を覚えていない大垣くん(仮名)も同じ時間だった。彼は僕と違って8時前に出勤して努力しているのだが。しかし、いくらまだ慣れていないといっても、かつて僕は彼より4,50分は早く終わってたぞ。しっかりしろよ。