水道検針日記(199Y年10月26日)~ミーティング

23日金曜日で今月の検針は最後だったので、今日は再調査とミーティングだけだった。本当は金曜に月の最後の検針したときは土曜に再調査をやってしまって気持ちよく月末休暇に入りたかった。土日が休みでも月曜にノルマが残っていると思うとあまり解放感がないのだ。

でも今月はミーティングがあったので仕方ない。他の仕事の人に比べたら贅沢な悩みではあるし。しかしみんな、とまではいわずとも大半の人は、そこら辺のことをもっと気を使って欲しいと思っているだろう。

ミーティングを欠席した人は4分の1くらいいたと思う。ばっくれたい気持ちはよくわかる。僕もそうしかったのだが、どうも気が弱くてできなかった。以前、アイルランドに行っているときに一回休んでいるし。検針がある日は10時というとちょっと遅い時間なのだが、ミーティングとなると早朝という感じがする。

このミーティングは、去年、大誤検針が二ヶ月に三件起こった後に定期的に催されることになったもので、必ずしも問題があって必要とされて開かれるものではない。今回も特になんと言うこともなく終わった。

要点としては、他の区の営業所で、ある検針員がマンションで5枚「おしらせ」を切らないでつながったまま集合ポストに置いてしまって、それがお客さんから「水道局は利用者のプライバシーの問題を蔑(ないがし)ろにしているのではないか」という苦情が来てけっこう大きな問題になったので注意されたい旨の言葉が所長さんからあった。

なんでもこれはハンディという検針の機械やメモリーカードというデータが入ったディスクを紛失する以上の問題になったらしい。そうか、そうだったのか。僕はいつもハンディやメモリーカードをなくしたら何十万円もの損失だと思って(検針員が弁償するかどうかは別にして。僕もそこらへんはよくわからない)非常に気を使っているものだから、こう言ってはいけないが、お知らせの扱いぐらいでそこまで問題になるとは思わなかった。

水道局としては、内部の問題よりもお客からの苦情に神経を使うのだろう。プライバシーの問題といっても、「おしらせ」はむき出しの裸でポストに入れるので、大抵の家では見ようと思えば簡単に見られてしまう。本気でプライバシーの保護を考えるなら、電話みたいに封書で送るしかないんじゃないか。

その後は、帰社時間4時半までの徹底と当日急に休まれると、社員が検針をしても特に手当てが出ないので歩合制で働く検針員さんにやってもらいたいので、対応が仕切れなくて皆困るというような意見があった。一般の会社みたいに管理が厳しくないので、まぁ割と頻繁に学生がコンビニバイトをさぼるようなことをする人がいるらしい。そこら辺は皆、大人なんだしね、まずいよね。

その後、こちらから一方的に言うだけではナンなので、検針員の皆さん、何か意見がないですか? ということになったのもの、沈黙。東半分と西半分に別れてミーティングしていて、西には元気がいい人がいるものの、東はそうではないので、みんな何も考えてないのか、それとも本当に特に意見がないのか誰も意見を言わないので社員の人は居心地が悪そうだ。それで、ようやく「仕方なく」という感じで博多出身・4年くらいまではゼネコンで働いていたPさんが質問。

その後、僕も一回質問。内容は、使用量が0立方だと、時々、中止するか確認をするよう支持を受けるが、これはお客さんの自己責任の分野ではないのか、検針員がやらなければならないことなのか、ということ。

まぁ、それに対して社員から説明があったが、正直なところ、よくわからなかった。それでミーティングは終了。土曜に再調査してしまっていて帰る人とこれから再調査にでる人に別れて散会。このためにわざわざ月曜の早朝(僕にとっては)に出勤したかと思うとあまり嬉しくない。

その後、たった2件再調査しにE町へ。それが終わって川沿いの緑濃いほとりを自転車で走っていると、同僚の小川幸伸くんが来たので、ベンチに座って少しトーク。小川くんがサンドイッチを食べながら、月末の休みはどうするとか(彼は部屋にこもって何かやるらしい)話した。

その話の中で、前回より4割以上使用水量が増えた場合は「何か変わったことありましたか?」という質問をするのだが、これは完全に「プライバシーの侵害」ではないのか? ということを僕が言って、小川くんが「まあ、そうだね」と同意した。

僕が質問される客の立場だったら、ちゃんと料金を払っているわけだから、増えようが減ろうがこちらの勝手だろうが、と思うだろう。以前、ある同僚が聴取したら、相手はヤクザ関係の人だったらしく「多かったら悪いんかい、少なかったら悪いんかい」とすごまれたそうだ。

そんなことを一々干渉されたくない気持ちはよくわかる。それに「何か変わったことが……」と訊いて「ありません」と一言できっぱり答えられるとこちらとしてはちょっとバツが悪い。

でも、水道局の方としては、聴取することによってお客さんに使用量が増えた原因をちょっと考えてもらって、料金について了解してもらいたいようだ。水なんて割と自分での気づかないうちにどんどん使ってしまうものだから、こんなに使ったはずはないという苦情がくるらしい。いろいろ難しい。プライバシーを重んずる国ではそこらへんどうなんだろう。