水道検針日記(199Y年10月22日)~開始手続きのお願い!

一週間ぶりの検針日記。昨日は一日雨だったが、休みだったので助かった。冷たい雨の中カッパを着て仕事するのはツライもんなぁ。

今日の現場はA町とW町。合計290件くらい。A町には幹線道路が走っているて非常に空気が悪い。道路の沿線にもちゃんと住宅がぎっしり並んでいて、僕はこんな所に住める人達に感心するんだけど、住人たちはどんなに空気が悪くても、窓の外に醜いコンクリートの高架が走っていても全然気にならないみたいだ。すごいなぁ。

先日の台風10号が来たとき、ニュースで各地の川の増水の様子を映像でみて改めて感じたたのだけど、日本の川はどこも岸が徹底的にコンクリートで固められている。もちろん自民党が公共事業を興して、建設会社を潤し、見返りに建設業界が自民党の票田になっているという悪があるにしろ、しかし根本には簡単に環境破壊を許す平均的日本人の美的感覚の問題があるような気がしてならない。


さて検針に戻ると、A町で検針していたら、よくあるタイプの古い二階建てのアパートがあって、そこはメーターが全部一階に並んでいて、集合ポストが一階の道路に面した側にある。二階の住人のポストに「おしらせ」を入れようとしたら、二階に四室あるうちの三室までがポストにガムテープを張って「お手数ですが、郵便は二階のドアポストまでお願いします」とある。

こういうのは腹立つね。横着しないでちゃんと下まで降りて来て欲しいね。他にもたまにこういうのはあるが、テープまでは張られていないので無視してそのまま入れることもあるし(だって「郵便」じゃないもん)、以前、ポストの口を紙でふさいでいたときは穴を開けて強引におしらせを突っこんだこともあった。まぁ、ささいなことではあるが、確実にムカつく。僕なんかはまだ二ヶ月に一度だからまだいいものの、郵便屋は大変だな。そういうのはもうあきらめてるのかな。

検針をしていてムカつく、腹が立つといえば、入居調査がある。簡単にいうと水道開始の手続きをしないでそのまま使う奴に連絡をとらせることだ。水道や電気はガスと違って、業者が来なくても勝手に使えるのでこういうのがよくある。

一戸建てや家族用のマンションならまだいいのだが、手間がかかるのが単身者用のアパート・マンションで、やつらは昼間はあまりいないし、仮に部屋にいたとしても黙って出てこないことが非常に多い。物音を立てないでいても、電気メーターの回り方を見ればおおよそ在/不在くらいは検討がつくのだ。

新聞屋や宗教関係の勧誘などがうるさくて、知らない人の訪問には答えないというのは理解できるにしろ、人様に無断で水を使っているからには「開始手続きのお願い」の紙を見たら、即座に検針会社に電話を入れるのが人としてこの世に生まれ落ちた者の義務ではないか。

その「開始手続きのお願い」には「お客様番号(10ケタ)」と「冊番号(4ケタ)」と「検針番号(1~3ケタ)」と「使用水量」と日付と僕の名前を書かねばならなくて非常にめんどくさい。

この「開始手続きのお願い」を無視するやつは許せないね。今日行って不在だったら翌日また紙を入れて、場合によっては不動産屋に電話をしなくてはならない。あくまで瞬間的にはだけど、僕にとっては某犯罪容疑者などよりやつらの方がよっぽど憎々しい時がある(あの報道は問題だが)。

時々、そいつらには懲役刑をくらわせてやりたいと思う。執行猶予じゃ生ぬるい。刑務所で同房の奴から「おい、お前何やったんだ?」と訊かれて「うん……つい面倒くさくて水道局に無断で水を使って、催促も無視してたら捉まったんだ」なんて会話があったら愉快だね。

W町の方は全部マンションで、各階に23も部屋が並んでいる。だから1号室から23号室まで80mくらいもあるのではないか。23号室を終えたら、非常階段で下の階に降り、1号室まで行ったらまた下に降りるというのを延々繰り返す。こういうマンションは単調で面白味がなくて、バタバタ音を立てているとドアを開けて出て来た住人に怪訝な顔で見られるが、こういうところは短時間で数をたくさんこなせる。

今日は10時過ぎに出社して会社に戻ったのは3時半だった。今月の検針は明日で終わり。明日は170件くらいしかないから午後から行ってもいい。それから月曜のミーティングが終われば今月の業務はすべて終了だ。はー、嬉しいなぁ。