水道検針日記(199Y年2月9日)~マンション90件は頭がクラクラ

今日はよく晴れたものの風が強かった。だから最高気温が10度というほどには暖かくは感じなかった。今日の現場はW町とH町2丁目。合計350件。W町は大学のすぐ近く。今は2月なので学生はほとんどいない。そうか、そういえばもう春休みの季節か。12時半頃終え、H町へ。

自家製パン屋でパンを買おうと思ったが、休みだったのでセブンイレブンでサンドイッチと赤飯おにぎりを買い、近くの公園で食べた。日当たりのいいベンチでゆっくり食べているとなんだか少しだけ満たされた気分になる。

風に揺れる木の音と、上空を飛ぶ飛行機のかすかな音。冬の淡い日差し。花壇の中の枯れ葉。食べ終わってからもベンチでいろんなことを考えた。

H町は185件ほどで、半分近くが一つのマンションだ。このマンションは全部若者向けワンルームで、建物はコの字型になっており、真ん中がパティオというか広場みたいになっている。それで全部の部屋と階段がこの広場に面している。

だから住人がマンションから出入りするには、必ずこの広場を通らなければならないように設計されている。ラテンアメリカでは普通の構造だが、こういう建物は日本では珍しい。こういうマンションはメーターが行儀よくきれいに並んでいるので、検針するには好都合な筈だ。

でも90件も連続していると、段々つらくなってくる。変化がなくて単調なのと、メーターが4m間隔で並んでいるため適度に休むことができにくいからだ。どうしても連続してやってしまって、段々頭がクラクラしてくる。このマンションは、構造が開放的なので、そんなに閉鎖的とか暗いイメージはない。コインランドリーも建物の中にあるので、その横にソファでも置いて交流ルームがあったら面白いのになあと思う。

検針を終えて自転車を置いた場所まで戻る途中に、社員のMさんと新しく入った検針員さん二人と会った。二人は今月入ったばかりの新人。今日は研修で社員について実地の訓練だ。かつて僕もやった。一人は23才の女性、もう一人は30代の男性。まだ右も左もわからず不安そうだ。僕が旅行かなにかで休んだ時、応援(他人の受け持ちをやること)してくれるよう頼んでおいた。今日はなんだか疲れたなぁ。