水道検針日記(199X年11月4日)~誤検針

なんと2ヶ月ぶりの検針日記。この間、特に何をやっていたというわけではないのだが、こんなに空いてしまった。簡単に言えば飽きたんだよね。

10月の休みは休日などの都合で10連休になった。そのせいか、検針の仕事が最初のうちはまだしっくりこないで、なんだか新鮮だった。今月からは、実はいろいろ大変な作業が増えることになった。

8,9月に大きな誤検針をしていたのが発覚して、我が水道検針会社が水道局からの信用を完全に失ってしまったらしい。誤検針というのは、誰でも月に1件くらいはやるものだが、その誤検針というのは、2,3000円増えただけというようなかわいいものではなくて、金額的には50万円もいったみたい。

10月に発覚したのは、前回指針が「8」なのに、今回コンピューターに「3」と打ち込んでしまい、そうすると水道使用量は一回転して992+3=995立方にもなってしまう。ちなみに20立方以下が基本料金です。

いつもより4割以上増減があると警告音が鳴って小数点以下の指針調査になり、大体はそれで間違いに気付くのだが、今回はなぜかそれがそのままデータとして提出され、審査係もどういうわけかそれを見逃して再調査に出さなかった。

2重のミスが重なったわけだ。何をやっているのか? それが 料金を記した「おしらせ」を見た客からすぐ苦情がくるのならよかったが、銀行の引き落としで50万円も落ちて初めてわかったという。こんなようなのが2ヵ月間に3件もあったらねえ、やっぱりまずい。

僕個人としては、人間なんだからたまにはそういうミスもあってもいいんじゃないかと思うが、世間はそれを許さない。

本当かどうか知らないが、今度同じ間違いをしたら会社自体が仕事を失うらしい。それで、水道局に誠意をみせるためもあって、ちょっと厳しいというか、けっこう面倒な作業を検針員に課すことになったわけだ。

細かいことは専門的になるので割愛するが、やたらとメモを取ることが多くなる。それと4割以上の増減に対しては必ず理由を聴取することになる。今までも聴取はすることになっていたんだけど、大体は僕などは面倒だからやらなかった。でもこれからはシステム的にほとんどやらざるをえないことになった。まだ天気がよい場合はいいけどさ、これが雨の日は大変だよ。

今日の現場は某カルト教団があるH町と某大学があるN町。合計450件くらいでけっこう多い。某カルト教団の建物の前にあるメーターの場所がわからなくなって(草に隠れていたのだ)、たまたまクルマから降りてきた教会員らしいおじさんに聞いたら親切に腰が低いままに教えてくれた。某カルト教団については、僕は個人的には完全に社会的存在として容認できないと思っているので、一日も早くこのビルが人手に渡るといいと思う。

N町の大学キャンパスにはまた学生の姿が戻っていた。もう秋だもんねえ。もうすぐ冬か。今日は、運よく増も減も少なくてメモを書く機会が少なくてよかった。

会社に3時半頃戻って4時からミーティング。これから検針員がやらなくてはならない作業の説明だ。ホワイトボードに「休」になっていたBがやってきたので、生理か何かで休んだのかなと思っていたから(Bは女です。子供もいる)「休みじゃないの?」と聞いたら「帰った」と言うので、詳しく聞いたら、朝会社に来て社員から軽く説明を聞いた時点で「こんなのやってられない」と検針を拒否してさっさと帰ったんだって。すごいねぇ、B子ちゃん(笑)。いやなのはわかるけどさ、怒って帰るほどじゃないよなー。

検針をやりながら本当にこんなの必要なのか、指示が一方的じゃないのかとかいろいろ考えていたから、僕は何回か質問した。(20人くらい検針員がいても質問するのは3,4人。なんでみんなそんなに大人しいのか? 僕は自分が思っていることを言いたくなるタイプだからこういう時よくイライラする。)それでまあ大体会社が考えていることはわかって、彼らの言い分もよくわかった。僕が管理する側で、いかに誤検針をなくすかと対策をとるとしたらやはり同じようなことをすると思う。それに、1ヵ月これでやってみて、無駄な点、必要な点などがはっきりしてくるだろうから、月末のミーティングでまた話し合おうということになった。

Bはどうするんだろう。これがいやなら辞めるしかない。これで辞めるなんて、ちょっと大人げないような気がする。他の競争が激しい業種ではもっと厳しいノルマはいくらでもあるのを知ってる人はこれくらいでは何ともないだろう。