水道検針日記(199Y年9月11日)~「バンドマンお断り」の居酒屋

ここのところ爽やかな晴天が続いている。今日は最高気温が30℃まで上がったとのこと。気温は高かったものの、湿度が低かったため8月のときのようにキツくはなかった。もうしばらくしたら本格的な秋だ。時間と季節は止まることはないんだなぁ。

今日の現場はB町6丁目とK町商店街の一部。合計350件。ここのところずっと300件台が続いていて、月曜に460件の奇数月の山場があって、それから徐々に件数が減って楽になる。がんばろう。

うーんと、今日の検針業務は特になんということもなく終了してしまった。2冊目のK町の方は最初の100件ほどが商店街の区域で、マンションなどの他に食堂、肉屋、米屋、お茶屋、本屋、不動産屋、喫茶店洋品店などが並んでいる。

この商店街の雰囲気はいかにもK町的な雑踏で活気がある。歩いている人は金髪にサンダルを履いた若者からばあさんまでまんべんなくいる。商店街といっても大資本の全国チェーン店はどこも同じでよそよそしい感じがするが、ここは家族経営が多い。

親子三人で狭い店舗にじーっとしているお茶屋とか、レジのとこで小学生の女の子がお絵描きしている洋品店など。こういう味がある商店街を検針中に、今日は各地に設置してあるスピーカーからバッハの曲が流れてきた。

バッハをバックに仕事をしていたら、なぜか自分がテレビドラマの中の登場人物の一人で、働いている姿を大勢の人に観られているような錯覚(妄想かなぁ)を感じた。皆さん、そういうことないですか?

会社に戻って軽い雑務をしながら同僚のバンドマンのジョニーと話をしいていて、前から気になっていたK町におけるバンドマンの飲み会問題をきいてみた。というのは、検針中やその他で居酒屋の前を通ると、よく「ギター持った方の入店をお断りいたしす」とか「金髪の方お断り」などという張り紙を見るからだ。

ジョニーによると、K町ではバンドマン入店禁止の飲み屋が大半で、なかなか入れるとこがないそうだ。なぜかというと、K町ではバンドマンが多くて、彼(女)らは酔うと時々ケンカする、ケンカしないまでもギターを弾いて唄い始めるのが多いかららしい。

バンドマンたちは徒党を組んで酒も入ってるから下手に注意したらけっこう面倒なことになるのかもしれない。ジョニーは「俺のとこも居酒屋で、メンバー同士でケンカやったことありますよ。音楽性をめぐってとかいうんじゃなくて、女がらみだったんですけどね(笑)。それで一人救急車で運ばれちゃって」と言っていた。「商業主義に魂は売らねえ」というんだったらまだカッコいいけど、女がらみじゃなあ……。